自己管理の基礎を取り扱う「自己管理のベーシックレシピ」、かなり期間が空いてしまいましたが、また再開したいと思います。
前回は「やること<タスク>を管理しよう」ということでやることの管理方法について取り上げました。今回は「予定」と「やること」を書き出して「時間」を管理する方法について取り上げたいと思います。
- 自己管理の仕組みを作ろう
- 予定を管理しよう<基本編>
- 予定を管理しよう<実践編>
- やること<タスク>を管理しよう
- 予定とやることを書き出して時間を管理しよう←イマココ
- 行動の記録を残そう
- 目標の考え方と立て方
- 目標を行動に落とし込む
■やることをスケジューリングして時間を管理する
■時間を拘束する「予定」と時間を拘束しない「やること」
前回の記事で次の様な一文を記しました。
やること(タスク)とは、締め切りは決まっているものの、開始と終了のタイミングには裁量が持てる時間の予約です。対して予約は開始時刻と終了時刻が決まっている時間の予約となります。
「予定」と「やること」の最大の違いは、時間の拘束力にあります。 予定は開始時間と終了時間がきまっており、時間を拘束する性質があるのに対し、「やること」は締切までであればいつ取り組んでも良く、中断や先送りも可能です。
例えば、参加を要請されている会議を「気分が乗らないからサボろう」とはなりませんが、締切が3日後の資料作成であれば「気分が乗らないから〜」と先送りにすることは決して珍しいことではありません。
■やることを見積もり、スケジューリングする
時間的拘束力を持たない「やること」ですが、当然これに取り組むためには時間が必要となります。ところが、どういう理由か「やること」を管理するにあたり、多くの方が以下の様な時間に関する問題に直面しているのです。
- 1時間位で終わるだろうと思っていた作業に3時間かかってしまった
(作業見積もりの精度不足) - 書き出した「やること」の内、いくつかは毎日の様に先送りされている
(常連タスクの発生) - 割り込みや特に急ぎではない雑用に追われる内に、今日中に終わると思っていた「やること」が終わらず次の日に持ち越した
(甘い見通しと優先度付けの誤り) - 気乗りしない作業を先送りし続けた結果、締切の作業が多くなり徹夜する羽目になった
(先々の見通しが立っていない)
こういった問題への対処をいくつか挙げておくと、
- 「やること」を実行するために必要な時間を見積る
- 実際に「やること」の実行に要した時間を計測し、次回以降の作業見積もりにフィードバックする
- 割り込みや雑用も記録・計測し、次回以降の作業見積もり時のバッファの参考値とする
- 「やること」に取り組む時間枠を予定表に書き込む(13時〜14時は作業時間、と時間枠を押さえる)
- 1週間先ぐらいまで実際作業時間として使える時間枠を洗い出し、現在抱えている「やること」をこなすためにはどれぐらいの時間が必要か、定量化しておく。
要するに、「やること」を実行するための時間を見積もり、それらをスケジューリングするということです。これによって、安易な先送りも、作業あふれもある程度は未然に防げるようになります。
■「やること」をスケジューリングするのは自分のキャパを知るため
「やること」の作業時間を見積もり、わざわざスケジュールに書き込むのは手間と感じるかも知れません。
確かに、何もしないことに比べれば、見積もり、スケジューリングし、さらに時間を計測するとなると、手間は大幅増えてしまいますが、これをやるメリットにはかけた手間以上の価値があります。
人が与えられた時間は等しく1日24時間と限られており、自分がこなせるタスク量はそのキャパシティの範囲内に収まります。しかも、こなせるタスク量というのは、体調や気分、その時時のシチュエーションにより大きく変化します。
残念なことに人の脳では、自分が抱える全ての「やること」を覚えておくことも、1週間分の自分の時間を定量的に把握することも出来ません。更に、そこに体調や気分、割り込みを考慮したシミュレーションを行う事などできないのです。
つまり、「やること」の時間を見積もり、スケジューリングすることのメリットは、自分のキャパシティ(時間的余裕)を知ることが出来る点にあります。
上司から作業を依頼された、飲み会の誘いがあった、急に京都に行きたくなった・・・などなど、あなたが自分の行動、則ち時間の使い方に関する判断を迫られた場面で「今、これを引き受ける(やる)余裕はあるのか?」に対する答えを得ることができるのです。
■予定とやることを時間軸にマッピングする
■まずは自分が作業にあてられる時間把握しよう
いきなり「やること」一つ一つの作業時間を正確に見積もることも、それぞれ「いつやるか」を厳密に設定するのも難しいと感じる方も多いと思います。
一度仕組みを作ってしまえれば、それほど大変な作業ではないのですが、最初の敷居を下げるために、まずは「自分が作業にあてられる時間を把握する」からはじめてみることをお奨めします。
まずは自分の予定や、通勤時間、食事時間、睡眠時間などをひとしきり書き出し、「作業にあてられる時間」を洗い出します。
例えば、9:00に出勤して、9:15までは朝礼があり、9:30ぐらいからは予定も特になく、自由に時間が使えるというのであれば、その時間帯が「作業にあてられる時間」となります。
これを1週間程度の期間で行えば、1週間という期間の中で自分が「作業にあてられる時間」が明確になりますし、明後日まで締切の作業に対して「作業にあてられる時間」がどれ程残されているかが分かります。
但し、注意が必要なのは「特に予定がない時間」であっても必ずしも100%作業に充てられるとは限らない点です。
トイレに行きたくなるかも知れませんし、疲れたら休憩を取る必要もありますし、急な仕事が舞い込むかも知れません。締切までに30時間時間があったとしても、正味では20時間ほど作業時間にあてられない・・など、バッファを積んで考える方が良いでしょう。
■カレンダーに作業時間を見積もる
「作業にあてられる時間」を洗い出す最も標準的な方法の一つとして、ウィークリーバーチカル形式のカレンダーに「作業にあてられる時間」を書き込むという手があります。
例えば、Googleカレンダーであれば、カレンダーの表示/非表示を切り替えるのは非情に容易ですので、1週間の時間を俯瞰したいときには作業用カレンダーを表示し、予定だけを確認したいときに作業用カレンダーを非表示にすると良いでしょう。
また、「仕事の作業時間」と「プライベートの作業時間」などを分けてスケジューリングすることも可能ですので、仕事の作業は今週35時間、ブログの執筆に充てれる時間は9時間・・といった具合に、自分の役割毎に残された時間を把握するのが容易になります。
■タスクリストに作業時間と実行タイミングを仕込む
もう一歩進んだ方法として、タスクリスト(やることを書き出したリスト)に見積もり時間や実行タイミングを書き込んでおくという方法があります。
私がやっている方法をざっと列挙しておくと
- 自分が「やること」を一通りタスクリストに書き出す
- 今日、明日、3日後・・・7日後とタスクのおおよその「実行日」と「見積時間」を設定
- 各タスクに対して「実行タイミング(3時間毎に区切った時間帯)」を設定
- ある時間帯の中に割り当てたタスクの合計見積時間が3時間を越えないように調整。また、その時間帯に何らかの予定がある場合は、それも差し引いて調整。
といった形となります。この辺の詳しいやり方はまた別の機会に取り上げるとして、こう言ったやり方で「やること」のスケジューリングも行えるのだという一例としてご覧下さい。
最後に
今回は「予定」だけでなく、「やること」についても時間を見積もり、スケジューリングを行う事で、多くの人が陥りがちな、作業系の時間管理に関する問題を解決する方法について紹介致しました。
先送りや、作業あふれなどにお悩みの方は、是非お試し頂ければと思います。
参考書籍
タスクシュート式はある意味、今回した考え方の究極の形です。この本に書かれている内容を100%実践出来なくても、時間やタスクに関する考え方を吸収する意味でも、この本は大変に参考になります。
入門書もありますよ!(アシタノメンバーjunさんの著書!)
ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
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