みなさんこんにちは、うさぼう(@usabo_tweet)です。
タスク管理もプロジェクト管理もシンプルなほうが嬉しいですよね。例えば、500ページ近くの重厚な書籍よりも125ページでプロジェクトを楽しくできる本の方が多くの人にとっては親しみやすいと思います。
最近、改訳や改訂版が出る書籍がどれも重厚になってしまう傾向にあるという話をのきばトークというラジオ番組で聴きました。
名著の図解版やまんが版が普及すると広く伝わりやすくなる一方、本来の伝えたいことが薄まってしまいます。そして、本家はと言えば、原典で伝え足りなかった部分を補い分厚くなっていく一方なのです。
本記事では、薄くて読みやすい本をスタート地点に、あなたのプロジェクトの核となる「冒険の地図」を作る方法を紹介します。
A4の白い紙とペンで始めるプロジェクト計画
このラジオを聴いていて思いついたのが「仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本」です。薄くてとっても読みやすいです。
メッセージもシンプルで、自分自身のプロジェクト(冒険)を地図に書き起こして、最強パーティー(仲間)を作ってレベルアップして最高のクリアをしよう、というものです。
読んだら早速実行してみようと思えるのも嬉しいです。高いアプリの購入を検討なんて不要、A4の白い紙とペンがあれば始められます。
テンポが大事なので制限時間は3分間。ごちゃごちゃしてきたらもう1枚紙を用意して最初からやり直し可能。書けば書くほどレベルアップしていきます。
冒険の地図(プロジェクトマップ)の作り方
細かいルールはありませんので、以下3点を意識して試してみて下さい。
- A4の白い紙と筆記具を用意する
- 紙の中央に冒険名を書く(照れずに、ちょっとカッコつけて)
- 冒険名のまわりにどんどん思い浮かぶ要素を書き出していく。何だっていい。
どうですか?白い紙は真っ黒に埋まったでしょうか。
埋まった方はこのやり方が合っているのでしょう。埋まらなかった方や書き出してみたけど何か不安な方もいらっしゃると思います。
ルールや制約が少なすぎると逆に書きづらくなるのは不思議ですね。
プロジェクトを詳しく書くトリガーリスト 5W2H
冒険の地図に要素を書き出す際に役立つ「5W2Hフレームワーク」を紹介します。
いわゆる5W1H(Why, What, Who, Where, When, How)に、How muchを加えたものです。何をするにもお金はつきものですね。
例えばWhoをとってみましょう。
- プレイヤーであるあなた自身とあなたが一緒に冒険する仲間。
- 必要な情報や資源を提供してくれる人
- 冒険を通じて心より満足させたい人
- レベルアップに不可欠な敵
- クライマックスを飾るラスボス
Whoと一言でいっても様々であることが分かります。フレームワークは汎用的に役立つようできていますが、いくつかサンプルをみたり実経験を踏まえないと詳細化には限界があります。
どうですか、冒険の地図は埋まりそうですか?
5W2Hだけ眺めていても広がらない様であれば、PMBOKを引っ張りだしてみましょう。
プロジェクトを詳しく書くのに役立つPMBOKガイド
PMIが発行するプロジェクトマネジメント知識体系ガイド「PMBOK」では、「プロジェクト憲章」を最初に定めるべきとされています。このプロジェクト憲章がこれまで述べてきた冒険の地図に該当すると考えて下さい。
PMBOK風に言えば、冒険の地図(プロジェクト憲章)は、国(組織)の中で公式に冒険を認めて、王様のニーズと期待を満足させる要求事項を文書化することです。
プロジェクト憲章(冒険の地図)作成では、以降に述べるアウトプットを定義していきます。作成の際に必要とするインプットや使えるツールと技法などが紹介されています。
アウトプット
プロジェクト憲章(冒険の地図)は以下をアウトプットとして定義します。
- プロジェクトの目的または妥当性(やらないと何がまずいか、やるとどんないいことがあるか、やりたい想い)
- 測定可能なプロジェクト目標および関連する成功基準(冒険の成功をどう測るか、成功とは何か)
- ハイレベルの要求事項(王様のニーズと期待)
- ハイレベルのプロジェクト記述
- ハイレベルのリスク(初めてのこと、不確実なこと)
- 要約マイルストーン・スケジュール(中間地点、制限時間)
- 要約予算(プロジェクトにかかる費用)
ハイレベルとは概要という意味です。最初に全体を俯瞰し、次に詳細を見るからこういう表現になるのですね。新人の頃「ハイレベルでいいんで」と言われた違和感、今でも忘れません。用語に慣れればPMBOKは少しずつ読みやすくなります。
インプット
プロジェクト憲章(冒険の地図)は以下をインプットとして定義します。
- プロジェクト作業範囲記述書(何をやるか、何を作るか)
- ビジネス・ケース(いくらかかっていくら儲けられるか、何を費やして何を得るか)
- 契約(前提となる取り決め)
- 組織体の環境要因(従うべきルール)
- 組織のプロセス資産(参考にできるテンプレート)
ツールと技法
また、プロジェクト憲章(冒険の地図)を書くにあたりツールと技法(使えるアイテム)として「専門家の判断」があります。以下のような専門家(頼りになる人)に、足りないインプットがないかを評価してもらうことでよりよい冒険の地図になるでしょう。
- 組織内の他の部門
- コンサルタント
- 顧客やスポンサーも含むステークホルダー
- 専門家の協会や技術関連の協会
- 業界団体
- 当該分野専門家
- プロジェクトマネジメント・オフィス
終わりに
改めて先に作った冒険の地図を見てみてください。何か書き加えられることが増えているかと思います。
白いA4の紙を前にして思うように冒険の地図が書けない時、PMBOKガイドはよき手引きとなってくれます。参考になれば幸いです。
こうしてトリガーとなるリストや参考情報を用意すると、確実に情報量は増えます。しかし同時にリスト以外のものを思いつきにくくする弊害も持っています。また、参照するリストが増えると見るだけで面倒くさく感じてしまいますよね。
クリエイティビティとモチベーションの両方を発揮しながらプロジェクトを定義するという難易度の高い取り組みを、「自分にもできそう!面白そう!」と思える形で紹介しているのが冒頭の書籍の素晴らしい点だと改めて感じます。
ではまた2週間後に。
本記事で紹介した本
会社員をしながら「うさぼうの人生ダッシュボード化計画」という個人ブログを運営。夢中になって過ごす楽しい時間を増やすために、ハマりやすく続けられるゲームの仕組みを追求中。 アシタノレシピではプロジェクトマネジメントを楽しむ方法を紹介予定。