目からウロコの子育てレシピ17 子どもの絵を読み取る愛情

Lyusytleです。「街角にはChristmath Tree♪」の季節がやってきました。

クリスマスですねえ。子ども達は冬休みの楽しいことについていろいろ話してくれます。楽しみでしかたないようです。親はいろいろと大変ですけどね。

さて、今回は、前回の「絵が上手にかけない・・・」の記事にけっこうご好評いただいたので、続編を書きました。まだまだ書き足りないことがまだたくさんあります。

かけがえのない一枚の絵からの読み取り

まず、この絵をごらん下さい。

「◯◯◯ちゃんがお母さんにプレゼントしたこと」とあります。

女の子の横に大きなはっぱが描いてありますね。この葉っぱのようなものをプレゼントしたのでしょう。

葉っぱの中になにやら四角がたくさん。ざっと数えただけで200個以上の四角が描かれてあります。

上には「ダイヤモンドのにせもの」の文字。どうやら,ダイヤがたくさんちりばめられたブローチをお母さんにプレゼントしたのです。

今から30年前、1985年頃に担任した3年生の子どもがラクガキの時間に描いてくれたものです。

ラクガキの時間とは,私が大事にしてた時間です。自分もラクガキをするだけじゃなく,子どもにもたくさんラクガキを描かせていました。

その時に描いて私のところにもってきてくれたこの絵。

写真に撮らせてもらって今に至るまで大事にしている絵です。

この絵を見てどうお思いですか?

「3年生でこんな絵?へったくそだなあ。葉っぱの大きさの比率もおかしいし、こんな絵を描いてたって賞状はもらえないね。」とお思いですか?

もちろん何かの賞に応募した絵ではありませんし、応募しようと思って描いた絵ではありません。

ラクガキだからこそ、思いの丈をいつの間にか夢中になって描いてしまった、というような絵です。

最初、この絵を見たとき、このたくさん四角は大きな意味を持っていると感じました。

これは,その子の思いがほとばしり出ている絵なのです。

その子は、お母さんと二人暮らしの子どもでした。

お母さんは、その子にとってとても大切な存在です。でも,お母さんはお仕事をしていていつも夜遅くしか帰りません。

そのお母さんにダイヤがちりばめられた葉っぱの形のブローチをプレゼントしたら,お母さんがとても喜んでくれたのでしょう。このことは,この子にとってとても大切なできごとだったのです。

私は、そのラクガキに返信しました。

「これはまたすばらしいものだね。君にとっては大切なものだね」

こんなに真ん中に書かずに端っこの方に書いていればよかったなあ,と今にして思うのですが,その子どもは、私の返信が書かれたラクガキを見ると、満面の笑顔で大事そうにその絵をもって私の所にやってきました。

そしていうのです。

「お母さんの誕生日に、ダイヤのブローチをプレゼントしたの!」

本当にうれしそうでした。大事な大事なできごとだったのです。

こういうとき、「読み取れた」うれしさを心の底から感じます。子どもも「わかってくれた」幸せを感じてくれます。

この読み取りには二つの条件が合わさっています。

ひとつは、この子の生活背景をよく知っていたことです。

生活背景をよく知っている、というのは愛情だと思います。見ようとしなければ見えないさまざまなものがその子どもにあります。子どもの表情、服装、話し方・・。

そういった有形無形さまざまに発信されるその子どもからのメッセージを受け取ることが出来るか。

受け取ろうとしないと受け取れないものです。

その子に関心を持ち、一生懸命にその子のことをわかろうとするから受け取れるのです。

ふたつめは、四角形が200個以上も大事に描かれているということは一体どういうことか、という意味を読み取る気持ちがあったということです。

ためしに四角を10個ほど描いてみて下さい。

最初のいくつかはちゃんとかけると思いますが、数が増えるにつれてだんだんくずれてきませんか?人によっては最後の方は「12」に近いような形になっているのではないでしょうか。

そういうことです。

最後まで大事に大事に気持ちを込めて描いていかないと、200個もの四角の形を保ったままかくことなんてできません。そもそも200個も書こうなんて思いもしません。描くまえに挫折してしまいそうです。

「この200個以上描かれた四角と,それがちりばめられたこの葉っぱは,よほどこの子にとって大事なものであるにちがいない」

私は、そのように読み取ることができましたが,もし、その時の私がこの子どもの生活の背景までよく知らなかったら,そして、この四角の意味を読み取る気持ちの余裕がなかったら、この宝物のようなラクガキを一瞥しただけで「ほう。ダイヤのイミテーションがちりばめられたブローチをプレゼントしたんだな」と思っただけだったかもしれません。

子どもの絵を読み取るという愛情あふれる営みは、子どもにとってとても幸せなことです。

私は,この一枚の絵をこれからもずっと大切にしていくことと思います。

しかし、併せて注意も必要です。

読み取ろう読み取ろうと思うあまりに、場合によっては大人の独りよがりな、恣意的な意味づけを考えてしまうこともあるのです。

読み取りか,恣意的なストーリーか

高学年の話になるのですが、ある子どもが工作で船をつくっていました。

その子どもは「自然」をテーマにしたテーマパークにおくアトラクションの船をつくっていたのですが、左舷と右舷が合わさる前の部分をセロテープやノリではなく草のつるでぬいあわせていたのです。

私はそれを見て感動しました。

自然をテーマにしているのだからあえて草のつるで縫い合わせるという手法を使ったのだと理解しました。そしてすばらしい表現だと評価したのです。

おそらく子どもの表現をしっかり読み取ろうと思う人なら、だれでもそのように読み取るのではないでしょうか。

私は、きっとよい読み取りをしたのにちがいない、と思ってその子に言葉で伝えました。

「すばらしいね!自然をテーマにしているから、あえてノリを使わないでつるで縫い合わせているんだね!」

するとその子はぽかんと私を見つめたあと、こう言いました。

「ああ・・・いや、あの・・・・のりもセロテープも忘れたんです。そこでちょうどいいつるがあったから縫い合わせようと思って・・・・。」

え・・・?

「でも先生がいうのもいいなあ。よし、そういうことにしょう・・・」

私はずっこけました。

そして、その子に口に出して私の評価を伝えてよかったと思いました。

「自然がテーマだから縫いあわせる」というのは、私の中で勝手に美しく作り上げたストーリーだったのです。

以上でお分かりのように,「読み取る」ということいは慎重でないとまちがった読み取りになってしまいます。

それでも、わたしは「読み取る」という営みをすることは大切なことだと思います。

その子が一生懸命に表現していることの意味を理解し、価値づける。そのような「心を前に出す」営みは、まさに愛情をかけていることではありませんか。

そこで、私は次のみっつのことをおすすめしたいと思います。

私がおすすめしたい三つのこと

1,親としての力全開で、子どもの絵なり表現なりを読み取ろうとすること

2,読み取ったことをもとに子どもとお話をすること。

お話をすることで、恣意的なストーリーを補正することが出来ますし、さらに深い理解にはいっていくことができます。

子どもにとっては、自分のことを理解しようとしてくれる親への愛情を感じることができるでしょうし、「そんな考えもあるのか・・・」と自分の感じ方を広げるきっかけにもなるでしょう。先ほど述べた,私の読み取り間違いが,子どもの視野を広げたように。

子ども達が描く絵には、さまざまな物語があります。思ってもなかったようなお話を引き出すこともできます。

ぜひ、子どもが描いた絵をもとにいっしょにお話をして下さい。

そしてもうひとつ

3,子どもの絵のはしっこ、目立たないところに、お話をした日付とお話の内容をメモして大事にとっておいてあげてください。

私も、自分の子どもと絵についていっしょにお話をしました。たくさんしました。そしてそれを袋に入れて大事にとってあります。

「頭足人」を獲得した息子は次々と作品を発表していきます。 これは、「ネコがおなかちゅいて、おおきなおかちたべゆ」と言いながらかいた絵です。 自分がおなかすいたことを身近なネコに託したのか、ネコが何かをたべているようすからかいたのか今となってはわかりませんが、同じものを、楽しむようにいくつもかいています。 まるで新しい表現形態を獲得したのがうれしくてたまらないようです。 1995年7月とあります。

上の子が30歳、下の子が24歳。

彼らが結婚するときにプレゼントしてあげようと思っています。(喜ぶかどうかは未知数)

まとめ

子どもが描いてくる絵から一生懸命にストーリーを読み取ろうとすること。そこにはきっと思いもかけないような物語が秘められていること

読み取ったことをもとに子どもとお話をすること。

お話をした絵に日付と内容をメモし、大事にとっておいてあげること。大きくなったらプレゼントしてあげる。

以上です。

さて、今年最後の投稿となりました。

4月から執筆陣に加えていただいたアシタノレシピにも、気づいたら17もの記事を投稿させていただきました。

毎回、どんな記事を書こうと頭を悩ませてきましたが、そのたびにあたたかいレスポンスをいただき、なんとかここまでやってきました。

次回は年が明けて、1月3日の投稿となります。

来年もよい記事が書けるようにがんばりたいと思います。

それではみなさま、よいお年を。

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25年前からのパソコン通信

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