この連載では司法書士のタスク管理実践例を紹介しています。
第1回 司法書士の仕事を材料に、タスク管理の実践例を連載します。
第2回 私の仕事になぜTaskChuteが必要か?(司法書士が教えるタスクシュート式テンプレート仕事術)
第3回「テンプレート」の定義とその具体例(司法書士が教えるタスクシュート式テンプレート仕事術)
第4回テンプレートを組み合わせて柔軟に「一日」を構成する(司法書士が教えるタスクシュート式テンプレート仕事術)
連載第5回の今回は、テンプレートを管理するコツを紹介してみましょう。
まずは荒くてもいいからテンプレートを作って使い始めること
いきなり「完璧なテンプレートを作ろう!」と意気込まない方が良いです。
ハードルを上げると着手するのが面倒になるので、まずはメモ書きから始めるくらいの気持ちで3分くらいで作れるものを作り、とにもかくにも使い始めることが肝要です。
頭の中でこねくり回していても、良いテンプレートにはなかなかなりません。
まずは見える形にして、使っていくことが大事だと考えます。
使いながら、アラを削っていく
使ってみると、使い辛いところが見えてきます。
足りないところは足していく。
順番がスマートでないと感じたら、順番を入れ替えたり。
そして、目を瞑ってやっても忘れないような自分にとっての常識は、削ってしまうことも大事です。
項目が少ないほどテンプレートは使いやすくなるので。
理想を詰め込まずに、現実に即したものにする
使わないテンプレートはすぐに陳腐化して使い辛くなっていきます。
気軽に手に取って使えるように、できるだけハードルを下げた方が良い。
すんなりさっくり終わるものを目指します。
「このテンプレートを使えば漏れはあり得ない」というようなガチガチのものにしてしまうと、途中で詰まったり面倒臭くなったりして、進まなくなりします。
そういう小難しいものは、だんだん手に取るのがおっくうになり、使われない「死にテンプレート」になりやすい。
それよりは「9割方のよくあるミスを防げればOK」くらいを目指す方が良さそうです。
道具は使われなければ無いのと同じですから。
余談:汎用化と専門化のバランス
種類に幅がある作業のテンプレート化を進めていくと、
- 一つのテンプレートをシンプルにしたい圧力
- できるだけテンプレートの種類を少なく収めたい圧力
との葛藤が生じます。
ちょっとわかりにくいですかね。
例えば私が仕事で使う「登記申請」のテンプレート。
複数の種類の申請AとBを汎用のテンプレート1のみでカバーしようとすると、「Bではチェックが必要だがAではスルーできる項目」も盛り込んでおく必要があり、テンプレート1の項目数が肥大化します。
テンプレート1 | 必要な申請タイプ |
保存申請条項 | A用 |
名変の要否 | B用 |
会社法人等番号 | AB用 |
原因情報のPDF添付 | B用 |
印鑑証明書の期限 | B用 |
印影の照合 | B用 |
そこでA用のテンプレート1’とB用のテンプレート2に分けると、それぞれのテンプレートをスリム化することができ、少ないチェック項目でテンプレートを回すことができるようになります。
テンプレート1’ | 必要な申請タイプ |
保存申請条項 | A用 |
会社法人等番号 | AB用 |
テンプレート2 | 必要な申請タイプ |
名変の要否 | B用 |
会社法人等番号 | AB用 |
原因情報のPDF添付 | B用 |
印鑑証明書の期限 | B用 |
印影の照合 | B用 |
では、AからZまで、申請の数だけテンプレートを用意するのが良いかというと、そういうものでもありません。
テンプレート数を増やすと、今度は管理の手間が増えてきます。
例えば全体に対して変更を加えようと思った時には、多数のテンプレートに変更を反映してやらねばなりません。
それが面倒でテンプレートの手入れが面倒になるようだと、これまた本末転倒です。
テンプレートの使いやすさと、テンプレートの管理の手間、それぞれのバランスのちょうどよいところを見極める必要があります。
私の運用を紹介しておくと、まず汎用的なテンプレートを作り、それを使い倒します。
その中で、使い辛さを感じ始めるタイミングがあるので、そこで検討を始めます。
パターンとして、
- 汎用よりも少ない項目で終わるもの
- それを切り出すことで汎用の項目を減らせるもの
を見つけて、テンプレートの切り出しを行うことが多いです。
それぞれ個別に説明しましょう。
汎用よりも少ない項目で終わるもの
上記の表の例で言えば、Aパターンが汎用テンプレートだと5項目確認が必要なところ、専用テンプレートだと2項目で済みます。
Aについては、汎用を使うより専用を使った方が経済的、ということ。
これは、経済的な専用テンプレートを使う為の切り出し。
それを切り出すことで汎用の項目を減らせるもの
汎用テンプレートは、できるだけシンプルに納めるのが良いです。
そのために、特殊な状況はできるだけ切り出してしまって、汎用テンプレートから項目を削除します。
使用頻度の高い汎用テンプレートに「滅多に使わない項目」が存在するのは、意外と邪魔に感じるもので、外した後はとてもスッキリします。
これは、汎用テンプレートを使いやすく保つための切り出し。
編集後記
余談が盛り上がってしまいましたが、テンプレートを使いこなすためには、とにかくさっさ使い始めること、そして使い倒すこと。
これに尽きます。
テンプレートは使う中で磨いていく道具ですね。
島根県在住の司法書士。同郷の妻と子供2人(8歳男児、6歳女児)と暮らしています。
趣味はブログ(流れるような一日を)とタスク管理(TaskChute2、たすくま、Toodledo等)
ブログ:流れるような一日を
Twitter:@sakane0958