こんにちは。Lyustyleです。
以前,ほめるということに関する記事を書きました。
目からウロコの子育てレシピ4 「ほめて育てる」には,「アイ・メッセージ」で
「なんでもかんでもほめればいいわけではない,かえって逆効果な場合もあるのでご留意を」という記事です。
今回は,学力の経済学にもはっきりとエビデンスで示されたほめ方についてです。
それは,「持っている能力をほめられた子どもは,挑戦をしなくなる。努力を誉められた子どもはさらなる挑戦をしていく」ということをもとにしたほめ方です。
どういうことでしょうか。
能力を褒めるということは「君は走るのが速いな」とか、「ピアノが上手ね」という褒め方のことです。速く走るという能力、上手にピアノを弾くという能力を褒めています。
努力を褒めるということは、「毎日、速く走るためのフォームを試していたね」とか、「ピアノを毎日◯時間練習していたね」などということです。
「学力の経済学」には、
「子どものもともとの能力(=頭のよさ)をほめると,子どもたちは意欲を失い,成績が低下する」(49P)
と科学的根拠をもとに述べられています。
それは,私たちの経験からも言えます。
私は、長年美術教育を専門に研究してきたのですが、子どもの描いた絵に対し「上手ねー」などということはあまり言いません。言う時には、具体的にどこが良いのかを指摘するようにしています。「筆を立てて気持ちを集中させてこの線を描いたんだね」「ボンドをつけてしばらく我慢してつけたからよくくっついたね」などという具体的な行動への承認です。
「わー上手」「かわいい」など,何が上手だと言われているのかわからない褒められ方をしても、成長するほど子どもは喜ばなくなります。
このことはたしかに能力ではなく、努力を褒めていることになっています。
でも、それは私が美術教育を長年研究してきたからその経験からできていることであって、もしかしたら、音楽でリコーダーをうまく吹く子どもがいたら、「わー上手ねー」と言うのか・・・・・というと、そうはなりません。
体育で逆上がりが上手にできている子どもがいたら「上手だねー」と言ったり、、国語で良い詩を書いた子どもがいたら「うまいなー」と言ったりするかというと,あまりそんなことはありません。
私たちは、あまり「上手だねー」とか「うまいなー」というような言葉を子どもに対して使わないのです。
それは、褒める時には、その内容を具体的に承認する、ということを経験的に良しとしてきているからで、それが「学力の経済学」により、科学的根拠を持って示されたのだと思います。
「能力をほめることは,子どもたちのやる気を蝕む」(51P)
と述べられています。
「君は計算が速いね」と褒められた子どもは、次には速く終えられる簡単な問題を選ぶのだそうです。速く終わることができなさそうなレベルの高い問題に挑戦するという行動が減るのだそうです。私たちは科学者ではないので目の前の子どもに対照実験をして確かめることはできないのですが、これまでの経験から、そうだろうなと思います。
「君は計算が速いね(そんな能力を持っている子だね)」ではなく、「君は計算に何度も挑戦しているから速いんだね(努力の結果なんだね)」というべきなのですね。
まとめ
子どもをほめるときには,以上のように能力を称賛するほめ方ではなく,努力を称賛するほめ方をしましょうという記事です。それも具体的に。
私も、自分の子育ての時にこれを知っていたらなあと思います。
教師って、よそ様の子どもを育てることには一生懸命になるのに、自分の子どもには・・・ということが結構あるんですよ(^^)
小学校の教師を33年間勤めています。
渡部昇一氏の「知的生活の方法」を読んで以来,忙しい中にも知的生活を求め続ける人生を送りたいと思ってこれまでやってきました。
2008年よりブログ「知的生活ネットワーク」をやっています。
BLOG:知的生活ネットワーク
Twitter:@Lyustyle