夏にサンタは何をするのか。プロジェクト管理の7つのコツ。

『どうも、おじゃましまーす』

「いらっしゃ・・・あぁ、君か。」

『なんですか、その反応は。ちゃんとしたお客さんですよ?』

「そういう事はちゃんと物を買ってから言うもんだ。それに君は毎日のように来ているじゃないか。そんなにやることがないのかい?」

『今はちょうど長い休みなんですよ。ここなら色んな話の本が置いてあるし、退屈しませんから♪』

「立ち読みばかりじゃなく、たまには買っていって欲しいものだけどね」

『そんな釣れないこと言わないでくださいよ。…はぁ、でもホント、こういう毎日っていいなぁ。』

「そうかね。忙しく動いている方が、私は好きだがね。充実感だって、そんな毎日じゃ味わえないだろう?」

『いいんですよ、のんびり過ごせたら。…なんか、一年に一回ぐらい頑張って、残りの時間を暇していられるような仕事はないかなぁ。』

「じゃあサンタクロースにでも転職したらいいだろう。」

『サンタクロースって、プレゼントを渡して歩く、あのサンタですか?また変な冗談を。…でもまぁ、そうですね。もしそんな仕事があったらいいなぁ。』

「サンタクロースはあるよ?私の知り合いにも何人かいる。ただ、君が思っているほど楽な仕事ではないがね。」

『そうなんですか?だって、12月25日に頑張ればいいだけじゃないですか。確かに当日は大変でしょうけど…。』

「じゃあ君は、夏にサンタが何をしているか知っているかい?」

『いえ…でも、どうせのんびりバカンスでもしてるんでしょう?』

「わかってないね。よく考えてごらん。サンタの出番は一年に一回だ。逆に言えば、彼は一年に一回の仕事で、その後の一年の食いぶちを稼がなけりゃならん。失敗できないんだよ。

“クリスマス” という大きなプロジェクトは、必ず成功させなければならない。

しかも、プロジェクトのケツは12月25日と決まっている。こういう仕事は信用が命だ。もし26日にプレゼントが届いてみろ。各家の親御さんからはクレームが入り、二度とそのお宅は任せてもらえないだろうよ。

失敗できないプロジェクトってのは、それだけで大きなプレッシャーだ。

それだけじゃないぞ。個人事業主だから、誰かが監督してくれるわけじゃない。自分で自分を管理する、いわゆるセルフマネジメントに長けてなくてはならない。

準備期間がキッカリ1年間もあると言うだけで、モチベーションの維持ひとつとっても簡単ではないのだよ。」

『…なんか、スゴくシビアな職業ですね…』

「ふむ。じゃあ、私の知り合いのサンタの話をしてあげよう。彼が、一年に一回のプロジェクトを成功させるために、どんな生活をしているのか。その秘訣を7つ話してあげよう。」


photo credit: wishymom (Stephanie Wallace Photography) via photopin cc

1.リストアップ

彼いわく、クリスマスが終わったら、もう次のクリスマスの準備を始めるんだってさ。

そこで最初にやることは、やるべきことをリストアップすることなんだ。クリスマスまでに、何をしなくちゃいけないかってね。

クリスマスと一言で言っても、それまでには色んな準備が必要。

プレゼントの用意もそうだけど、トナカイの手配・プレゼントの調達・来年の配達エリアの策定・衣装をどうするか、などなど。結構やんなきゃいけないことが多いんだそうだ。

そこでまずはリストアップ。やるべき事もそうだし、「こうしたいなぁ」ってぼんやり思ったことも書きだしていく。例えば「来年は衣装を新調したいなぁ」とかね。

GTDって知ってるかい?あれで言う所の「収集」みたいなもんさ。まずは頭の中で考えたことを、リストアップするのが大事だって話さ。


2.ガントチャートの作成

あと彼は、早い段階で「ガントチャート」を作るって言ってたな。

ガントチャートってのは、タスクのスタートとゴールを一望できる表で、プロジェクトの進行状態なんかも管理できるとても便利な表だ。

こんな感じのね。


photo credit: ttstam via photopin cc

例えば、クリスマス当日にプレゼントを用意はできない。だから、事前にアンケートとる必要があったり、買いに行く時間が必要なのさ。

Aっていうタスクが終わらないと、Bってタスクが始められないって事あるだろう?そういうスケジュールを一望できることに意味がある。そうじゃないとクリスマスまでに間に合わないんだそうだ。


3.モチベーションの維持

一年って長いスパンを持ってると、モチベーションの維持がそれはそれは大変なんだそうだ。

そりゃそうだ。君だって、夏休みの宿題を期限どおりに終わらすのに苦労していただろう?それと同じだ。

「宿題なんて早めに終わらせて、のんびりした夏休みを過ごすんだ!」って意気込んでも、結局最終日に徹夜している。そんなもんだよ。

だから、定期的にモチベーションを上げるようにしているらしい。

なんでも、サンタが寄り集まるイベントがあるとかで、そういうのに参加するらしい。人と会って話すのはモチベーションアップに役立つそうだ。

また、彼は熱心な読書家でもあってね。お気に入りは「できるサンタの7つの習慣」だそうだ。


4.健康管理

毎朝彼は、ランニングを日課としているんだ。なぜだか分かるかい?

もしクリスマス当日に、風邪を引いてしまったら、ベストなパフォーマンスを発揮できないだろう?それは彼にとって致命的なんだ。

健康ってのは、一朝一夕で手に入るものじゃない。日々の積み重ねによる基礎体力が大切なんだ。

彼はそれを良く理解している。付け焼刃で「前日はいっぱい寝るぞ!」なんて、無計画なことはしないんだ。

また、食事にも気を使ってるそうだ。

みんなサンタって言ったら、ちょっと小太りな白ひげを思い浮かべるだろう?そのイメージを守るためとは言え、健康的な小太りを作るのは、なかなかどうして難儀なんだそうだ。


5.習慣を身につける

そうそう。早朝ランニングの理由と言えば、もう一つ。当日の寝坊を防ぐ意味もあるんだそうだ。

「明日早いから、今日はちょっと早めに寝よう」って思っても、結局起きたのはいつもと同じ時間。そんな経験は君にもあるだろう。

サンタだって人間だ。失敗だってする。寝坊だって、してしまうかもしれない。

だから彼は、1年間の間で習慣を身につける。規則正しい生活ってのを心がけているんだ。

さっきの健康の話に続くけど、習慣ってのも一朝一夕では手に入らない。日々の積み重ねだ。彼が言うには、本番にベストが尽くせるかどうかは、日々の練習(習慣)が最も重要だと言っているよ。


6.リスクマネージメント

本番に先駆けて、彼は日々イメージトレーニングを怠らないんだそうだ。クリスマス当日、どんなことが起こりえるかを頭の中で作っておくんだ。

これは、リスクに備えるって意味で重要だ。

例えばクリスマス当日、予定通りに家を回っている時、まだ子供が起きているかもしれない。そうなったら、その後のスケジュールのすべてが狂ってしまう。

こういう事は、あり得る話なんだ。

もしかしたら当日起こらないかもしれない。でも、それは違う。リスクマネージメントってのは、「起こって欲しくないことが起こった時は、どうすればいいか」を考えることなんだ。

「どうせ準備してたって、結局役に立たないかもしれないじゃないか」と斜に構えていると、必ず失敗する。

彼は一度、煙突に突っかかってタイムロスをしたことがあってね。泣く泣くその後のスケジュールを大幅にカットしたことがあったんだ。

それから彼は、色んなリスクを考えるようになったそうだよ。失敗は人を成長させるね。


7.チェックリスト

最後に、彼はチェックリストを愛用している。これを伝えなくちゃならないだろう。

毎年毎年、1年を同じルーティーンで回している彼だからこそ、同じ作業を繰り返すことは多い。

リストアップしたり、ガントチャートを作ったり、これは毎年同じ事を繰り返している。

だから彼は、その繰り返しの作業に対してチェックリストを作っているよ。

チェックリストがあるからこそ、彼は安心できる。「あれやったっけ?」なんて考える必要がなく、「次は何しなくちゃいけないんだっけ?」なんて迷う必要がなくなる。

クリスマス当日、ちゃんと予定通りプレゼントを配れたかを確認できるのも、チェックリストがあるからなんだよ。

過去の自分の行動を振り返って、作業にミスをなくすだけじゃなく、どうしたら効率化できるかをシッカリ考えている。こういうところがプロだなぁと感心するよ。

彼が愛読している本をひとつ紹介してあげるよ。…確かうちの店にも置いてあったな。

そう、これこれ。これはとてもオススメだ。役に立つ本だから、今日は持って帰って読んでみなよ。…ただし、お代はちゃんともらうからね。


■あとがき

『なんだか、大変な世界なんですね…』

「いやいや、これは僕らの日常でだって同じことが言えるんだよ。プロジェクトの管理は、僕らだって他人ごとではないんだ。」

『それにしても、なんだかサンタへの夢っていうか、イメージが崩れちゃったなぁ』

「彼らもプロだからね。のなりくらり仕事しているようで、実は誠実・真面目で、仕事に対して一生懸命なのさ」

『…いえ、そういうことではなくてですね…』



from your @bamka_t



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