今日はまたご機嫌ななめだね。どうしたんだい?
…チョコレート好きの友達に少し早いクリスマスプレゼントって、ホワイトチョコレートをあげたんだけど、実はその子はホワイトチョコレートが苦手だったって?
あっはっは!それは事前調査が足りなかったね!でも、相手も気持ちだけは嬉しかったんじゃないかな。ありがとうって言ってもらえたんだろう?
で、なんで不機嫌なんだい?
…思ったほど喜んでもらえなかったって?まぁそれはなんというか、相手の好きなもんじゃなかったんだから仕方ないんじゃないか?それに、苦手なものを受け取っても喜んでくれたんだし、ありがとうって言われたんだから良しとしなきゃ。
まぁ気持ちはわからないでもないけど、それでふてくされるのは、ちょっと違うんじゃないかい?
プレゼントってのはもちろん、相手に喜んでもらいたいからあげるもんだけど、実際に喜ぶか否かは分からない。あげてみないことにはね。
でも一つ言えるのは、”君がそうしたいからプレゼントした”。そうだろう?
それでいいんだよ。自分の行いに対する相手の感情を予測することはできないんだ。大切なのは、君の想いであって、そうしたいと思った気持ちなんだ。
…納得いってないって顔だね。
じゃあ少し、彼の話をするかな。とても心優しい男だけど、それ故に報われない。けれども幸せであり続けた、そんな男の話さ。
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世界で一番報われずに幸せだった男
自分の行いが実を結ばなくとも、幸せになれる。そんな事はありえないかもしれませんが、彼、ジョナサンは確かに幸せでした。
10歳の頃。
小学生だった彼は、真面目で真っ直ぐな性格でした。周りの友人たちが騒いでいる中でも、彼だけは真面目に授業を聞き、ノートを取り続けています。彼は、そういうタイプの人間でした。
そして何より彼は、優しい人でした。
彼のクラスには、少し真面目さに欠けるクラスメイトがいました。彼は、そんなクラスメイトを放っておくことができず、よく気にかけていました。
そのクラスメイトが宿題を忘れたときも「わからない所があったら教えてあげるよ」と声をかけ、「一緒にやろう!」と声をかけました。
しかし、そのクラスメイトは、そんな彼を煙たがります。『うるせぇなぁ。お前はできるかもしれないけど、俺はできねぇんだよ』そう言い放たれることもしばしばありました。
ただ、彼は優しい人でした。授業中にそのクラスメイトが分からなさそうな素振りを見せれば、何も言わずに彼が手を挙げます。「先生。そこの所がよく分からないので、もう少し教えて下さい」と。
そんな事が幸いしてか、彼のクラスメイトは皆、平均以上の成績を持って卒業しました。
しかし、ジョナサンの評価は決して高くはない。「あいつはいつも授業の足を止めるから、やりにくいんだよなぁ」と、先生からの評判もあまり良くはありませんでした。
20歳の頃。
大学生だったジョナサンにはアリシアという彼女がいました。その年のクリスマスは、二人で過ごす初めてのクリスマス。彼は彼女に喜んでもらいたい一心で、彼女の為に尽くします。
前々から彼女が欲しがっていたものや、彼女が喜びそうなプレゼントを用意して、当日はレストランの予約まで。準備に抜かりはありません。
総額で数万円をかけた彼のプレゼントは、物だけではなく、”クリスマス” という日そのものでした。
当日、彼女は心からクリスマスを楽しみ、そして、準備に時間をかけてくれた彼に感謝しました。しかし、彼女からの贈り物は、とてもとても些細なものでした。
『ごめんね、ここまでしてくれて。こんなにしてくれるなんて思ってなかったから、私、こんな物しか用意してなくて』そう言って、彼が手渡されたプレゼントは、お世辞にも高価とは言えないボールペンがひとつ。
しかし彼は喜びます。「僕のためにプレゼントを用意してくれてたなんて、本当にありがとう!」
彼は、とても真っ白な人なのです。
30歳の頃。
ジョナサンは仕事に精を出していました。
彼は、あいも変わらず優しい人でした。それは仕事場でも変わらず、いつでも周りの人に気を配り、”どうしたら仲間達の力を最大限に発揮できるか” ばかりを考えていました。
ある日、彼は仕事場の親友であるアルフォードとタッグを組んだプロジェクトを任されます。
アルフォードはとても交渉上手で仕事はできますが、ドタバタなのが玉に瑕。スピード感が仇になって、行き当たりばったりで仕事をする癖がありました。
そんな彼を一番身近に見てきたジョナサンは、彼の力を最大限に活かせるサポートに徹します。必要な準備は自分が行い、いつも先回りしていました。そのためアルフォードは自分の事に集中し、最前線でプロジェクトをこなしていきます。
その結果プロジェクトは成功を納め、会社の大きな業績に繋がります。
しかし、評価が高いのはアルフォード。いち早く次のポストに招かれたのはアルフォードであり、ジョナサンのポストは変わりませんでした。
『ジョナサン、すまない。僕ばかりがこんな結果になってしまって。君がいたからこその結果であって、評価されるべきは君なのに。必ず君を上に押し上げてみせるからな!』
しかしジョナサンは、そんな事はどうでも良い様子。
「アルフォード。これは君の成果だ。僕は、君が力を惜しみなく出せるようにサポートしただけ。紛れもなく君の力だよ。それにプロジェクトは成功して、会社の業績に貢献できたじゃないか。僕はそれが嬉しいんだ。」
彼は、優しい人でした。
プロジェクトの成功を祝おうと、その話をアリシアにしたら、彼女は少し怒り気味に彼に問いただします。
『なんでそんなヘラヘラしていられるの?だって、あなたはコレだけ努力したじゃない!それが評価されないなんて、そんなのおかしいよ。
あなただって、もっと訴えてもいいんじゃないの?自分はこれだけやってるんだから、これだけの物をもらえるのは当然だって。もっと主張したっていいじゃないかしら…』
それを聞いた彼は優しく微笑みながら、彼女にこう話しました。
「アリシア。君の言うことはよく分かる。確かにね、僕はもう少し自分の力を他人にアピールしてもいいかもしれない。そこは僕の足りないところだと思うよ。
でもね、今のこの結果には満足しているんだよ。
だって、僕は自分の力を出し切ったし、自分の信じた正しさを貫いた結果が成功だったんだから。」
『成功?…そんな…だって、あなたは何も得てないわ。』
「僕がポストを得られなかったことは、それは確かに残念だよ。でもね、それが原因で満足しないってことはないんだ。
今までの人生を通して、僕は本当にいろんなことをしてきた。僕は人の喜んでいる顔が好きだから、一生懸命に人のために誠意を尽くしたよ。
コレが、僕にとっての誇りなんだ。
その結果で、例え誰かが僕に感謝をしてくれなくたって、そんなことは関係ないんだよ。僕には関係のない話しさ。
僕は、僕が “そうしたい” から行動した。人から優しくされたいから優しくしているんじゃ、決してないんだよ。
僕がしたいから、そうした。なら、それでいいじゃないか。
自分のした行動に対する他人の反応を、僕が期待しちゃいけない。そうすると、もしその期待と違う反応をされたら、きっと僕は “裏切られた” と思ってしまう。
全部、僕の一人芝居なのにね。勝手に期待して、勝手に裏切られる。そんなことがあってはいけないんだ。
“与える” って行為は、無償じゃなくちゃいけないんだ。期待しちゃいけない。」
『でもそれじゃあ、あなたが報われないわ…どんなに努力したって、人に認められないなんて、そんなの悲し過ぎる…』
「違うよ、アリシア。僕は報われてる。
僕は、人から認められたいから何かをしたことはないよ。それを基準にしたら、”人からどう見られるか” が僕の行動基準になっちゃう。
それは “周りの人間が麻薬をやってるから、僕も麻薬をやる” ってことと同じになっちゃうのさ。
自分の芯は、自分の中にだけ持つべきもの。これが僕の考えだよ。
それに、君はこうやって、僕の行動を見てくれて、一緒に喜んでくれてるじゃないか。アルフォードだってそうさ。彼はあんなに喜んでくれていたし、僕に力を貸してくれる。
だから僕は、今とても幸せなんだ。
もしかしたら僕は、人から優しくされたいから、人に優しくしてるのかもしれないなぁ。」
『優しくされたいから、優しくしてるの?それじゃあ結局、人の優しさに期待してるんじゃない?』
「期待はしてないよ。”僕はこうした。だから、君はこうするべき” なんて思ったことはないよ。
僕が数万円のプレゼントをしたからって、君が数万円のプレゼントを僕に渡すべきだなんて、そんな事はないのさ(笑)
でもね。自分がされて嬉しいことってのは、まずはそれ自分が他人に与えることさ。もらえる事が重要なんじゃない。もらえたら嬉しいものを、まずは人に与えることが大切なんだ。
だから、僕は君に無償の愛を渡し続けるって決意してるよ。」
『ふぅ~ん。じゃあそのプロポーズも、私からの返事に期待はしてないわけだ。』
「い、いや!そういうことじゃ…!」
■あとがき:背筋だけを伸ばして生きよう
彼の話を思い返すたび、私は彼の芯の強さを羨ましく思うよ。私もあれだけの背骨を持って生きていられるか、それは正直言って自信ないな。
でもね、これだけは言える。彼は、幸せだ。
自分が行った行動と、そこから得られる結果。ここに因果関係はないんだよ。「こうしたから、必ずこうなる」って道筋は、絶対に成り立たない。
ある程度の予想はできるかもしれないが、それを人に対して当てはめちゃあいけないんだ。
相手に喜んで欲しくてプレゼントをあげた。けれども相手は喜んでくれなかった。もしかしたら「ありがとう」さえ言われないかもしれない。
でもそれは、君が相手を恨んでいい理由にはならないよ。「ありがとう」と言われると自分が勝手に期待したから、勝手に裏切られたって感じるのさ。
もっと、自分の背筋を伸ばして、自分が正しいと思ったことを信じて良い。それが芯の強さだよ。
だから彼へあげたプレゼントも、彼の反応が大切なんじゃない。君が彼のことを想って、それを行動にした。行動を起こしたこと自体が、一番大事だったんだよ。
ま、本当に彼のことを思うなら、ホワイトチョコレートが苦手なことぐらいは調査すべきだったと思うけ…痛い痛い!叩くなって!私は悪くないだろう!
from your @bamka_t
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