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今回は戦国時代に活躍した軍師「黒田官兵衛 くろだかんべえ(黒田孝高)」、「蜂須賀正勝 はちすかまさかつ(蜂須賀小六)」、「竹中半兵衛 たけなかはんべえ(竹中重治)」を取り上げ、彼らが採った行動からビジネスパーソンに役立つ考え方を3つ紹介します。
1.常に、外部に関心を持ち情報を収集する
播磨の国に戦火が及び始めた頃、黒田官兵衛が当時仕えていた領主「小寺政職」は家臣たちを呼び寄せ「今後、誰が天下を取るのか」という質問を投げかけました。お気づきの通り、これは一族の命運を左右する重要な質問です。しかし黒田官兵衛以外は誰も明確に回答できませんでした。
現代のビジネスにおいても、日頃から情報を集めることは将来の予測に役立ちます。先見性のある意見や提案は、どのような仕事でも高く評価されることでしょう。
ちなみにこの質問に対して黒田官兵衛はというと、日本各地の武将や戦況を細かく説明し、有力な候補として「織田家」と「毛利家」を挙げ、最終的には「織田家」に味方することまで小寺政職に提言したそうです。
2.常に、交渉相手の心中を理解する。
黒田官兵衛が豊臣秀吉に仕える前、豊臣秀吉の家来であった「蜂須賀正勝(蜂須賀小六)」がたてた偉業として、隠居中の名軍師「竹中半兵衛(竹中重治)」を織田家に勧誘した逸話があります。
過去に織田家の敵軍に属していたことを理由に、織田家への勧誘をなんとか断ろうとする竹中半兵衛。そこで豊臣秀吉と蜂須賀正勝は三度も竹中半兵衛の屋敷を訪れ、最後には竹中半兵衛に「私たちに軍略の知恵を授けて欲しい」と頭を下げました。再び活躍の場を求めていた竹中半兵衛は、自分の能力が予想以上に高く評価されていることを知り勧誘に応じたそうです。
いつの時代も交渉相手に対して、その信念を曲げさせることは容易ではありません。そのため、相手のプライドや面子に配慮し、交渉の言葉を選ぶことが相互の利益に繋がります。
3.常に、自分の考えを周りに示し信頼関係を作る
最後は、織田家の家来になった「竹中半兵衛」の逸話を紹介します。戦国時代では「裏切り」を防止するために、家臣の武将は、主君に対して近親者を人質として差し出す習慣がありました。織田家に仕える黒田官兵衛も例外ではありません。
あるとき、黒田官兵衛は織田信長の命令で、敵軍についた荒木村重を説得するために交渉に挑みましたが、逆に捕らえられ牢屋に幽閉されてしまいました。黒田官兵衛が音信不通になったため、織田信長は「黒田官兵衛が裏切った」と勘違いし、竹中半兵衛に「黒田官兵衛が人質として差し出していた息子(黒田松寿丸(長政))」を殺せと命じます。1年後に黒田官兵衛は救出されますが、幽閉されていたことを知った織田信長は、黒田官兵衛の息子を手にかけたことを大いに後悔しました。
しかし、この話には続きがあります。
竹中半兵衛は織田信長の命令に背き、黒田官兵衛の息子を殺さずに密かに自分の居城にかくまいました。その後、竹中半兵衛は不運にも病死していましたが、1年後に牢屋から出てきた黒田官兵衛は、息子の無事を知り竹中半兵衛に大変感謝しました。
これは竹中半兵衛が、日頃から黒田官兵衛という人物を知り、主君を裏切るような人物ではないと知っていたから実現したことです。翻って現代のビジネスにおいても、上司、部下、同僚が自分の人間性を理解し信頼していてくれれば、ピンチの時に強力なサポートを期待できるかもしれません。
■オススメのトピック・書籍
このコーナーでは、今回のお題に関連してビジネスパーソンに役立つWebサイトや書籍を紹介します。
内田 和成 (著)
ご存知の方も多いと思いますが、本書は仮説立案の重要性と方法を説明した書籍です。仮説思考とは「実験を実施する前に結論を予測する思考である」という例え話があります。そして、その理由は、「結論が先にあるため必要な検証法を漏らさずに適切に実施できる」からとのこと。最近、仕事上での自らの判断や決断に自信が持てないことが多いなあと思っている方にオススメです。
アラキ(Twitter:@arakinet)です。外資系経営コンサルタントを経た後、皆さんと一緒に世の中に新しい前例を創ることを目指すベンチャーを新たに設立。ワクワクする発見を求めて経営戦略立案やIT、新規事業に関する仕事をしている30代。大手からベンチャー企業まで様々な業界・業種の方々と関わりながら暮らしています。