【前回のおさらい】活動ログのためにノートを使い始めた進吾くんに、明日香さんが質問した。
「実は、まだノートもメモもなんだか面倒くさくて続いていないんだけど、面白いかなあ?今回は、ぱうぜセンセだけじゃなくて、進吾くんにも質問です」
“メモ・ノートって大事なの?楽しいの?”
「うん、今度の質問は俺にまかせてほしいっす、ぱうぜセンセ」
お、進吾くんがやる気なので、まずは彼に語ってもらおうっと。
(前回のお話はこちら)長期計画を「立てる」だけでは意味が無い!定期的な見直しを
「なんでも書いてよいノート」をつくろう
「それじゃあ、いつもぱうぜセンセがやってるみたいに逆質問させてもらうっす。明日香ちゃん、いつもノート持ってる?」
あら、いつのまにか「ちゃん」づけで呼ぶ仲になっていたのか、この二人。
「ええと・・・授業のノートなら、ルースリーフで取ってるけど」
「それって、授業があるときだけだよね?そうじゃなくて、こういうの」
おもむろに進吾くんが取り出したのは、ちょっと小さめ、A5サイズのノートと、手のひらサイズのメモだった。
「俺、ぱうぜセンセがなんでいつもノートを持ち歩いているのか不思議で…訳も分からず真似してA5のノートとメモを買ったんだけど、これが思いのほか良かったんすよ」
へえ。ちなみに、私が持っているノートはミドリ MDノート A5 方眼罫です。
「どうして良かったんだい?」
「ぱうぜセンセ、俺たちと話しているときも、ご飯食べに行ってるときも、なんか面白い話になりそうだな、と思ったらノート広げてメモとっちゃうじゃないですか」
「そういえばそうですね。こないだなんか、食堂で一人でご飯食べてるときもノート開いて書き込んでましたよね。あんまり真剣だから、声かけられなかったんですよ」
あ、あれバレてたのか。ちなみに、書き込んでた内容は「冬休みの台湾旅行中に何やろうかな」っていう、確かに見られると恥ずかしいものだったけどさ。
「最初、ぱうぜセンセがメモ取りまくってるのって何だろう、って思ってたんですけど、俺も真似してちょっとした時間に色々書いてみると、心のモヤモヤがなんだかすっきりするんですよね」
「ええと、最初はたしか時間の記録をつけるためにノートを買ったんだったね」
「そうなんですけど、途中からそのとき思いついたちょっとしたこととか、今日気づいたこととかも書くようにしたら、どんどん楽しくなって」
うふふ、教えてもいないのに勝手に身につけてくれたようだ。「何でもノート」を一冊作ると、捗るんだよね、いろいろと。
アイデアや気づきはすぐ逃げてしまう
「嘘だと思うかもしれないけど、気づいたことを書き連ねるだけでもわくわくするんだ。ちょうどぱうぜセンセに借りてた本にも、良いことが書いてあった」
そういえば、倉下忠憲センセの本を貸したな…
「この本の第2章に、メモやノートを持ち歩くことの大切さが書いてあったんすよ」
そうそう、なんでもないことの組み合わせで新しいことが生み出される以上、小さな気づきを集めることを怠らないように、メモを持とう、ということだったね。
「何をどうメモしていいかわからなかったんだけど、この一言で気が楽になったっす」
自分の心の動きがあれば、メモとして残しておく。ルールと言えるものはそれだけです。対象は何であれ、自分の心が動いていれば何をメモしても問題ありません。これが「何をメモしてもよい」ということの意味です。
(中略)
客観的に見てくだらなそうに思えるものでも、自分の心のフィルターを通して出てきたもの、思い付いたものはメモしておく、それが「気づき」メモのポイントになります。
倉下忠憲『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』技術評論社(2012年)67―68頁
いろいろな使い方を試してみよう
「でも、それって日記とは違うの?」
明日香さんの疑問はもっともだ。「日々の記録」なら、日記でも良さそうに思えるかもね。
「違うんだよなあ。普通のノートだと、使い方がいろいろ試せるんだよ。ノート、ちょっと見てみてよ」
「これは、いま自分が関心ある内容をありったけ書き出してみたページ」
「これは、毎日やることを書き出して、気づいたことをたくさんありったけ書いてみたページ」
どうも、進吾くんは「ありったけ書いてみる」っていうのにハマったみたいだね。
「ちょうどゼミを決める時期だったから、こういうのも作ってみたっす」
ふたつのゼミを比べてみたんだね。決断のために、あえて書き出してみたのか。
「それぞれのゼミの説明を聞きに行って、自分にとってのメリットとデメリットを書き出してみたっす。本当に迷ったんだけど、どうにか決めることができたのは、このメモのおかげかな。あ、実は経済が苦手なの、バレちゃった・・・」
まあ、それはご愛敬、ということで。
「ぱうぜセンセはなにかありませんか?」
「そうだなあ、進吾くんがほとんど答えちゃったけど、ノートの取り方は色々工夫したことあるよ。例えばね・・・」
質問や振り返りを助ける「研究会ノート」の取り方 – カフェパウゼをあなたと
会議や授業のノートにも便利です
「会議や授業での流れだけじゃなくて、そのとき自分が感じたことを同時にメモしておくと、質問がしやすくなるんだよ」
「へええ!いろんな使い方があるんですね。ノートと言えば板書を写すだけだったんで、新鮮です」
むしろ、自分で考えた「内なる声」をとりこぼさないために、ノートと友達になってほしいな。
「これ、どんなノートでもいいの?」
「持ち歩きしやすければなんでも。俺は方眼・・・イラストとか書きやすくて好きなんだ」
うん、私もその考え方で方眼にしましたね。
TwitterとEvernote、両方使うと面白い
「でも、どうしても手書きって苦手かも・・・」
「だったらさ、明日香さんは何が得意なの?」
「実は、こないだ教えてもらったとおり、SNSの使い方を考え直してみたんです」
ああ、単なる愚痴にしちゃもったいない、っていう、あのときの話ね。
「SNSとの接し方は?」世界に開いた窓としての使い方
そういえばこの回の最後になにか言いかけてました
「最後に何か言いかけてましたよね。Twitterもメモになるとかなんとか…それなら、私にも続けられそうです。あれ、もうすこし詳しく教えてください」
よし、次回はSNS上級編だね。
”Twitterをメモにするにはどうしたらいいですか?”
ちょっとしたコツがいるけど、そう難しい話じゃないんだよ。
あ、でも、来週はちょっと忙しいから、少し時間をくださいね・・・
◇ぱうぜセンセのメモ◇まずは一冊のノートから
モヤモヤするときや、何かを生み出さなきゃいけないときに、ノートにとにかく書き出してみるっていうのは一つの方法なんだよね。慣れてくればどうってことないんだけど、最初は「そんなの意味あるのかなあ」って思うらしい。まあ、だまされたと思ってやってみてほしいんだよね。幸い、そんなに高くないからさ。ちょっとした待ち時間に、LINEやTwitterやるのも良いけど、自分の内面と向き合ってみるのも悪くないよ。
編集後記
今回は学生からの質問というよりも、学生に勧めてみたらものすごく反響があったことについて書いてみました。
実際、今回使ったノートの写真はゼミ生からいただいたものです。紹介しきれなかった他の例も含めて、こちらのリンク先もご覧ください。
第1期横田ゼミ生のメモ・ノートたち | ゼミ | 横田明美(YOKOTA Akemi)のウェブサイト
「メモ・ノートを一週間続けてみる」という課題を出してみたら面白かったです
ぱうぜセンセのコメントボックスでは「バーチャルコメントボックス」を設けております。Twitterで #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。いただいた全ての質問にお答えできるか分かりませんが、とりあえず試してみることにします。似たような仕組みとして「ビストロ・アシタノ」もありますが、ビストロはアシタノメンバーみんなで答える形式になります。どうぞ両方ご愛顧ください。
2013年春から大学教員になった駆け出しの研究者。専門は行政法。
個人ブログとして対話をテーマとした「カフェパウゼをあなたと」を運営中。
http://kaffeepause-mit-ihnen.hatenablog.jp/