「軍師の心得」シリーズの第三回目。今回は日本の戦国時代における劇的な「道具の変化」を題材にして、現代のビジネスパーソンに役立つ「道具を選ぶときに重要な視点」を紹介します。
では、先ずは過去の「道具の変化」からお話をスタートしましょう。
戦国時代において最も使用頻度が高い道具はというと、何を思い浮かべるでしょうか?
土地を耕すために農民が使った道具と言えば、「農具」。一方で合戦においては兵士が用いた道具と言えば、「武器」があります。そして戦国時代に一気に有名になった武器といえば「鉄砲(火縄銃)」ですね。
ちなみに、この「鉄砲」が登場するまでは「弓」が主流でした。
テレビの時代劇などでは「刀」や「槍」での合戦風景が描かれます。しかし実際の合戦において敵軍に効率よくダメージを与え、味方の兵力を温存するためには、お気づきのように「短距離」よりも「長距離」から攻撃できる武器が有効です。そのため長距離攻撃ができる武器として、戦国時代までは「弓」がもっとも重宝されました。
そして、戦国時代において「弓」が「鉄砲」へと急速に置き換えられた理由は次の通り。
1つ目は、ご存知の通り「鉄砲」は「弓」よりも射程距離が長いこと。「弓」は最大でも200m程度、一方で「鉄砲」は最大で500mと約2倍です。
そして2つ目は、「弓」を的に命中させるためには高い技術力と、使用者の体力、とくに腕の筋力が必要でした。一方で、鉄砲は弓に比べ短期間で使い方を習熟でき、使用者の筋力もそれ程影響を及ぼしません。一度、鉄砲の使い方を覚えてしまえば、敵に狙いを定めるだけで使うことができます。
そのためご存知の通り、当時の鉄砲は高価でしたがその有効性を認めた将軍などは可能なかぎり鉄砲を導入し、敵との合戦で優位に立ちました。一方で、鉄砲の導入を見送った将軍は合戦で負けが続き没落していきました。
ではここで、現代のビジネスに話を戻しましょう。
この現代においても、クラウドサービスの普及やウェアラブル端末の登場など、戦国時代の「弓」から「鉄砲」への変化と似た状況が各方面で起こっています。すなわち現代社会においても、新しい道具の導入を見送れば、「戦国時代に鉄砲の導入を見送った将軍」のように没落してしまう可能性があります。
そこで今回は、道具を選ぶときに役立つ3つの視点を紹介します。
1.道具を選択(購入)する際、その選択基準は利用目的と合致しているか。
例えば、仕事の効率化を目的に道具(機器)を探しているなら、遊びやゲーム機能の充足度合いを道具(機器)の選択基準にすべきではありません。もちろん、付加的な機能としてゲーム機能があっても良いでしょう。しかし、本来の目的の達成度合いを最優先に検討すべきです。
2.道具を購入(選択)する際、事前に試す機会を利用しているか。
例えば、通信電波など外部環境に左右されたり、自分で使用した場合に想定外の不具合(エラー)を発生したりする道具(機器)もあります。そのため、事前に試用できる機会があるなら是非試してみるべきです。そうすることで、本当に使用しなければならない場面で「全く使用できなかった」というような後悔を防ぐことができます。
3.道具を購入(選択)する際、使用場面を明確にイメージできているか。
例えば、通勤電車の中で勉強のために使用する。或いは、休日の朝に健康状態を良くするために使用するなど、使用する場面をイメージしてから道具を選ぶ(買う)べきです。そうしないと、その道具は棚の奥で埃をかぶることになります。もちろん、道具を使用している途中で新しい使い方に気づくことがあるかもしれません。しかし最初から新しい使い方に気づくだろうと期待して選ぶと、結果的に時間と費用が無駄になる可能性が高いです。
これら以外にも、その道具のカテゴリー特性やデザインなどによって「選ぶときの視点」はあると思います。場面に応じて活用して頂ければと思います。
■オススメのトピック・書籍
このコーナーでは、今回のお題に関連してビジネスパーソンに役立つWebサイトや書籍を紹介します。
今回は「道具を選ぶときに重要な視点」というテーマに関連して、戦国時代では実行できなかった有効な方法を一つ紹介します。戦国時代においては自軍に有利な道具(武器)の情報は、なかなか外部には漏れませんでした。しかし現代社会では、幸運にもWeb上で様々な口コミやレビューを見つけることができます。
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おそらく、上記で紹介されている全ての道具(ツール)を使用したことがある方は少ないのではないでしょうか。
アラキ(Twitter:@arakinet)です。外資系経営コンサルタントを経た後、皆さんと一緒に世の中に新しい前例を創ることを目指すベンチャーを新たに設立。ワクワクする発見を求めて経営戦略立案やIT、新規事業に関する仕事をしている30代。大手からベンチャー企業まで様々な業界・業種の方々と関わりながら暮らしています。