桜舞い散る季節になりました。もうすぐ新入生が入ってきて、キャンパスも賑やかになりますね。
「新入生ガイダンスにあわせて、新聞部は特別号を発行する予定なんです」
とうとう編集長になった文哉くんが、今日も取材にやってきた。
「各学部の先生に、同じ質問をしているのですが、ぱうぜセンセもお願いします」
“大学新入生に向けてひとこと、お願いします!”
ずいぶんざっくりとしたテーマだなあ。でも、来週には新入生ゼミも始まることだし、考えておかなきゃいけないことだったからちょうどいいか。文哉くんにも質問してもらって、少しでもブラッシュアップしておこうっと。
(前回のお話はこちら)「新社会人におすすめの趣味は?」~『書店めぐり』のススメ
高校生と大学生の違い
「それじゃ、文哉くん、高校生と大学生の違いって何だと思う?」
「ええと、何ですかね・・・授業で出席を取られないとか?・・・あ、そもそもどんな講義を取るかを自分で決めますね」
「他には?」
「バイトで断られることが減りました。高校生可って少ないですね」
「お金を稼いで、一人暮らし始める人もいるよね」
「新聞部で徹夜しても、親に怒られることは無くなりましたね、そういや」
部活とかサークルののめり込み方も人それぞれ。
「大学生は、高校生までに比べて自由になる。この自由を、きちんと乗りこなしてほしいんだ」
Try and error
「どういうことですか?」
「大学生は、時間はあるけどお金はない。だからといって、お金ばかり稼ごうとしても効率悪いんだ。とくに最初のうちは、試したいことはどんどん試して欲しい」
時間があるうちに、自分がどんなことをに興味があるのか、どんなことが楽しいと思えるのか、あることをやるのにはどれくらい時間と労力が掛かるのか、ひとつひとつやってみてほしいのです。
「そういや、明日香さんから、『ぱうぜセンセはものすごく料理のとりわけが早いって褒めたら、延々とバイト時代の思い出話をされた』って聞きましたよ」
うん、ウエイトレスのバイトは辛かったけど、料理やお酒の種類やマナーだけでなく、組織での動き方とか、いろんな意味で勉強になりました。
「バイトだって、お金だけじゃなくて経験も積めるようなものを探すと面白いよね。大学生のうちは、しがらみが比較的少ないから、色々見て回ることも出来るだろう」
「失敗することもあるかもしれないけど、社会に出てからの失敗よりも、傷が浅くてすむ、というわけですね」
そうだね、比較的、そういう傾向があるよね。
「バイトだけじゃなくて、サークルも楽しかったよ。ディベートとかの技術はそこで学んだなあ」
「いろんなシナリオを受けて、キャラを育てていく・・・なんだか、RPGゲームみたいですね」
はい、自分の人生観はゲームで出来ています・・・って言ったらいろんな方面に怒られそうだ。あ、そうだ、言い忘れたことがある。
でも致命的なエラーは回避しよう
「それでは、RPGゲームと人生の違いは何かな」
「・・・何言ってんですか、人生にはリセットボタンがないですよ」
最近のRPGはリセット効かないのも結構あるけどね・・・そう。人生にはセーブポイントもリセットボタンも電源もない。
「そう。だから、色々試してみて欲しいけど、致命的なエラー、いわゆる地雷を踏まないように気をつけて欲しい」
「どういうことを想定してますか?」
「新入生なら、薬物とか、急性アルコール中毒とか、カルトとか、悪徳商法とか、いろいろな注意を受けていると思う。あれらが『自由な』君たちに色々と言われるのは、取り返しが付かないエラーにつながりかねないからなんだよ」
もちろん、そういうものに遭遇してしまったときは、しかるべき相談窓口に相談してください。
「いま上がってきたのはなんとなく理解できます。他にはありますか?せっかくなので、ぱうぜセンセらしい方面で」
「そうだね、インターネットの付き合い方はかつてお話しましたね」
「SNSとの接し方は?」世界に開いた窓としての使い方
メリットもデメリットもあるんだよ
「この話を書いた後に聞いた話だと、ある学生は『一度インターネット上にアップした写真は(おそらく)一生消えない』ってことを理解していなかったというんだ」
「あー、居ますね、そういう人。自分が削除すればおしまい、と思う人ですよね」
実際には、キャッシュには残るし、消す前に転々と流布して「web魚拓」のようなサービスで保存されれば、後からほじくり返されることもある・・・。
「わざわざ悪行をアップする人の気が知れないですけど、仲間内に見せたくてやる人も」
「今の君には特に問題のないことでも、後々になって問題になることもある」
そういうことは、盛り上がっているときにはわからない。
「だから、少なくとも、なにか大きな決断をするときには、しっかりと情報を集めて欲しい」
情報収集の目利きになろう
「なにか具体例はありますか?」
「新しい化粧品や電化製品に飛びついたりする前に、ネット上で評判を探してみるというのもいいかもしれない」
「ネット上の情報は根拠が曖昧なものもありますよね」
「もちろん。ただ、本当に危ないっていう情報がけっこう消費者庁や消費者センターとかのサイトにころがっていることもある」
消費者庁ホームページ
トップページにでかでかと「ご注意ください!」のコーナーがあります
「悪徳商法の手口とか、知ってるとずいぶん心理的な負担が違いますね」
「大きな買物とかをする前にちょっと調べるだけでも、ずいぶんちがうんじゃないかな」
トライと地雷の見極め方を学んでいこう
「まとめると、どういうことです?」
「自分で色々やってみると、経験値(経験知)が身につく。から、いろいろやってみよう。でも、後々まで残りそうな致命的な地雷を踏まないように、危ないと思ったら全力で引き返す勇気も持って欲しい」
「・・・(あまりまとまってない・・・)『トライと地雷の見極めを!』という見出しでまとめさせていただきますね」
「ありがとう。ぜひ、この『ぱうぜセンセのコメントボックス』や、アシタノレシピの新社会人向けの記事の紹介も加えてくれるかな」
「前者はともかく、後者は?社会人向けでは?」
「いやいや、大学生だって、『自分の力を高める』っていうプロジェクトの新規加入者だよ。新社会人向けの記事も参考になる」
「な、なるほど。それじゃ、書いてみますね。ありがとうございました」
こちらこそ、新入生ゼミに向けてよい心構えができました。
さて、どんな人達に出会えるかな。
◇ぱうぜセンセのメモ◇
最初の内って何やっていいかよくわかんないのが大学生活。新入生がどんな思いで来てくれるのか、楽しみですなあ・・・。
編集後記
以前、インターネットと消費者保護の関係について、宇都宮共和大学の企画でシンポジウム等に参加しました。
宇都宮共和大学都市経済研究年報13号(2013年11月)に特集が組まれております。
コーディネーターをしてくださった吉良貴之先生のウェブサイトから、全文DLのリンクがあります(【社会活動、講演・ゲストセミナーなど】の17番、(講演)「賢い消費者になって社会に出よう――カフェで語るネットトラブル対処法」、とちぎ消費者カレッジ、2013年07月20日)ので、ご関心のある方はご覧ください。
アシタノワークショップの準備、着々と進行中です。
アシタノワークショップ第3回は「仕事がタノシクなるコラボレーション術!」
実際にやってみよう!
今現在も参加募集中です。ちょっと新しいことにチャレンジする機会、あなたもどうですか?
4月19日、皆さんにお目にかかれるのを心待ちにしております!
ぜひ皆さん、「バーチャルコメントボックス」に質問をお寄せください。Twitterで @kfpause宛てにツイートしていただいても結構ですし、 #ashitano をつけて投稿していただければ適宜拾いますので、どしどしお寄せください。
2013年春から大学教員になった駆け出しの研究者。専門は行政法。
個人ブログとして対話をテーマとした「カフェパウゼをあなたと」を運営中。
http://kaffeepause-mit-ihnen.hatenablog.jp/