こんにちは、ベック(@beck1240)です。 アシタノ・コラボ術第2回は、「自らの質を究める。他人の質を見極める。」です。
前回の「異質を創り出せばコラボレーションは生み出せる!ーアシタノ・コラボ術vol.1」ではコラボレーションの定義と、異質を作る為の次の3つの観点についてとりあげました。
- 質を究めれば異質になる
- チーム組閣で異質を作る
- モードと観点で異質を作る
今回はこの内2つ、「質を究めれば異質になる」と「チーム組閣で異質を作る」の2つを詳しく見ていきましょう。
シリーズ「アシタノ・コラボ術!」
- 異質を創り出せばコラボレーションは生み出せる!
- 自らの質を究める。他人の質を見極める。←イマココ
- 観点とモードを使い分け、即座に異質を創り出せ!
- 会議のタイプが異なれば、目的も必要なテクニックも変わる
- 残念なブレインストーミングを脱出する5つのヒント
- ディスカッションを最大化する3つのテクニック
- 意志決定系会議はプレゼンテーションが命
- その情報共有、本当に会議でやる必要ありますか?
- アイデア発想のコラボレーションケーススタディ
- 空中戦の救世主!あなたも今日からビジュアライザー!
- コラボレーションに効くクラウドサービス
自らの質を究める
自らの質を究め、異質になる
自らの質を究めていけば、自ずと他人とは異質になります。
同じ会社、同じチーム、同じ専門分野を扱う物同士で「異質になる」というのはどういうことか?そう疑問を持たられる方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、多くの場合、あるチームで扱う業務範囲、業務量、その納期に対してリソースは限定的であり、ほぼ間違いなく分担作業が発生します。勿論、職種にもよると思いますが。
例えば、あなたが10人ばかりのマーケティングチームに所属しており、チーム内で分担して世界各地の市場調査を行う場面を考えてみましょう。あなたは中国市場を任されて、市場規模、想定顧客、自社製品の精密機器に競合する企業、その内アライアンスが構築出来そうな相手の調査を担当しました。
この例の場合、10人で195カ国(恐らくは市場規模や成長見込みで30カ国ぐらいに絞るでしょうが)の調査を行う必要があるわけですから、あなたの中国リサーチを手伝う余力はないと考えていいでしょう。手伝うにしても、あなたとは違った観点で調査をしなければ非効率です。
レポートを仕上げた頃には、あなたはチームの中で「中国市場」に最も詳しい人になっており、チーム内のメンバーとお互いの専門領域の知見を交換できるようになるでしょう。その後、社内の精密機器部門と連携しながら中国市場への参入プロジェクトに従事していくなど、コラボレーションの幅は広がっていくことでしょう。
上記例は極端な例かも知れませんし、ステレオタイプな成功物語に見えるかも知れません。しかし、あなたが自分自身、あるいは環境からの要請で何らかの質を究めていくことで、確実にあなたは他者とは「異質」な存在へと変わって行くのです。
究めるべき4つの質
漠然と「質」と言われても、具体的に何をすれば良いか分からないかも知れません。色々な考え方、分類があると思いますが、私は自らの「質」を次の4つのポートフォリオにマッピングして俯瞰するようにしています。
- 専門知識
- 業務経験
- スキル
- 興味関心
これはあくまで一例ですが、今までの業務に必要だった専門知識やスキル、業務経験、自分が「好き」だからという理由で続けてきたことなど、様々な経験や学習が今の私を形作っています。
その結果、今は社内でどんな業務にアサインされても大体「異質」ですし、大なり小なりコラボレーションが起こせるようになったな、という実感があります。
まずは一度、この4分類で自らの「質」を書き出し、整理してみましょう。
現状が整理できたら、自らの夢や興味関心、現状の不安や不満、チーム内の状況や社内の方針、市場の動向などを鑑みながら
- 今ある質の内究めていきたい物は何か?
- 今後、加えていきたい質は何か?
と自問自答をすることで、今後の自らの成長戦略をありありと描けるようになるでしょう。
まずはバックボーンを獲得しよう
もしもあなたが「まだ自分はチームや組織の中で特異点を持っていない」と感じて居るのであれば、まずはバックボーンを構築する必要があります。
- あなたの専門分野は何ですか?
- 今後何の専門家になりたいですか?
- あなたの特技は何ですか?
- あなたは没頭できる趣味はありますか?
- あなたが今興味関心を持っていることは何ですか?
こういった、自らの「質」を掘り起こす自問自答し、更には「今後どうなりたいか」に想いを馳せてみましょう。どうしても思いつかなければ、まずは今目の前にある仕事に没頭し「バックボーン」を得ても良いでしょう。
私も、今の会社に新入社員として入社したとき、決して望んでいた業務に就けた訳ではありませんが、その中で得たスキルや専門知識がバックボーンと成、その後の仕事で大いに役立つことになりました。
逆に、何でもかんでも「自分で選び取った結果」でなければいけないと思うのは、逆に不遜ですらあります。人は社会と関係しながら生きており、環境の要請に併せて自らを成長させていくものなのです。
誰だって最初から「自分が何者であるか」という答えを持っていたわけではありません。自分なりの「進むべき道」が見つかるまでは、今いる環境の中で「質」を磨き「バックボーン」を獲得しましょう。
“私が13歳のとき、宗教の先生が、何によって憶えられたいかねと聞いた。誰も答えられなかった。すると、今答えられると思って聞いたわけではない。でも50になっても答えられなければ、人生を無駄に過ごしたことになるよといった”ーP.F.ドラッカー
他人の質を見極める
4つの質で以て他人の質を測る
先ほどの質の4分類を用いれば、他人の質を測ることも可能です。
- 専門知識
- 業務経験
- スキル
- 興味関心
理想を言えば、チームメンバーに自らの質を書き出してもらうのが良いと思いますが、日本人の場合は遠慮しがちなので、往々にして控えめな主張になりがちです。
なので、その人自身の自己評価に加えて、あなたからの評価や、周囲のメンバーの評価なども加えながら、メンバーの「質」を測っていきましょう。また、エニアグラムやストレングスファインダーの様な分析ツールを使うというのも一つの手でしょう。
メンバーの質を見極め「異質な集団」を作る
チームを組閣できるポジションであれば、メンバーの質を見極め、効果的に組閣することで「異質な集団」を作り出し、コラボレーションを生み出しやすい環境を作ることができます。
この組閣を考える時には「苦手分野を補完」するのではなく、「得意分野の相乗効果」を狙うようにしましょう。
例えば、IT系のスタートアップで言えば、以下の「異質」な3人がいれば最強のチームになると言われています。
- ハスラー:顧客やパートナーとの関係を作る人
- ハッカー:サービスを作り上げる人。イメージを形に出来る人。
- デザイナー:サービスの見た目と使いやすさを担う人。
ハスラーばかりでは物はできあがりませんし、どんなにコンセプトが素晴らしく、美しいアーキテクチャで実装されたサービスであっても、見た目がショボイというだけで、ユーザの選択肢から外れてしまいます。この3人は「最強の補完関係」にあるのです。
もちろん、これは一例なので、「完璧な補完関係」をご自身の業界、ご自身の仕事に当てはめて考えて頂く必要があります。ベストは、必要最小限の少数精鋭チームを作ることです。
「比較優位」でボトルネックを解消する
チーム組閣を行う時にはどうしても直感的に「優秀な」メンバーを揃えたくなります。確かに「要領が良い人」は何をやらせても上手くやり遂げる傾向にありますが、多少性格に難があろうと、技術面であればそのエキスパートをアサインする方が「完璧な補完関係」に近づきますし、チームとしての異質度もより大きくなります。
また、ハッカーとしてもデザイナーとしても最高に優秀な人がいたとして、その人に両方の業務をこなさせると、その人の業務量が過多になり「ボトルネック化」する恐れがあります。こういう場合は、「比較優位」の考え方で、他の優秀なハッカーなり、デザイナーを連れてくるべきなのです。
比較優位というのは、経済学用語で元々は以下の様な意味ですが・・・
比較優位とは『「国内での相対的有利さ」を国ごとに比較したときの相対的な有利さ』という、二重に相対比較した時に優位にあることを表す概念である。
–比較優位 – Wikipediaより引用
まぁ、小難しいことは抜きにして、絶対的に能力がある人に全部やらせるのは現実的ではないので、他者との組み合わせを考えた時「効用が最大となる組み合わせ」を探すと良い、位に考えて頂ければ途思います。
チーム組閣の注意点
チーム組閣の注意点をまとめると
- 質の4分類で他者の質を測ってみる
→本人の評価、あなたの評価、他のメンバーの評価を総合するとよい
→エニアグラムや ストレングスファインダーを使うのも良い - 「苦手分野の補完」ではなく「得意分野の相乗効果」を考える
- ただ優秀なメンバーを集めるのでは無く「完璧な補完関係」を満たすメンバーを揃える
- 少数精鋭が望ましいが、能力がある人に全部任せるとボトルネックが発生する
→「比較優位」の考え方で最善の組み合わせを考える
また、今後取りあげるつもりですが、チーム組閣の段階からパワーバランスや感情について手を打てると、チーム運営がよりスムーズになります。
- メンバー間のパワーバランス(声の大きさ)の差をマネジメントで補えるメンバーにする
- 感情的な対立は全てを超越するので、敬意を払えない者同士は組み合わせない
まとめ
今回は、まずは以下の4分類で自分の「質」を書き出し、質を究めるためのプランを練りましょうというお話から入り、
- 専門知識
- 業務経験
- スキル
- 興味関心
- 質の4分類で他者の質を測ってみる
→本人の評価、あなたの評価、他のメンバーの評価を総合するとよい
→エニアグラムや ストレングスファインダーを使うのも良い - 「苦手分野の補完」ではなく「得意分野の相乗効果」を考える
- ただ優秀なメンバーを集めるのでは無く「完璧な補完関係」を満たすメンバーを揃える
- 少数精鋭が望ましいが、能力がある人に全部任せるとボトルネックが発生する
→「比較優位」の考え方で最善の組み合わせを考える
- メンバー間のパワーバランス(声の大きさ)の差をマネジメントで補えるメンバーにする
- 感情的な対立は全てを超越するので、敬意を払えない者同士は組み合わせない
といったことに注意できるとBESTです。
ちなみにですが、今回取りあげた「自らの質を究める。他人の質を見極める。」という領域は、時間が掛かったり、自分の力でどうしようもない部分が多かったりします。
次回は、もっとテクニック色が強くて即効性がある「観点とモード」について取りあげたいと思います。乞うご期待!
参考文献
ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
BLOG:Hacks for Creative Life!
Twitter:@beck1240