残念なブレインストーミングを脱出する5つのヒントーアシタノ・コラボ術!第5回

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こんにちは、ベック(@beck1240)です。 アシタノ・コラボ術第5回は、「残念なブレインストーミングを脱出する5つのヒント」です。本記事を読む前に、前回の記事

シリーズ「アシタノ・コラボ術!」

ブレインストーミングにはお作法がある

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ブレインストーミングとは?

通称ブレスト。正式にはブレインストーミング法という会議方式の名称で、アレックス・F・オズボーンが考案しました。まぁ、世の中で行われている「ブレスト」の多くがオズボーンの考案したブレインストーミング法のルールに則っていないので、世間が認知する物とオズボーンが考案したものは少し乖離があるかも知れません。

ブレストの人数に決まりはないのですが、5、6人が丁度良く、10人ぐらいになると少し多すぎるかなという印象です。少なすぎると沈黙が辛くなり、多すぎると一部のメンバーがただそこにいるだけという状態になってしまいがちです。

ブレストでは集団でアイデア出しを行うのですが、その中で参加者同士の相互作用であったり、誰かが出したアイデアから新たなアイデアが誘発される効果を得ることができます。ただ、あまり知られていないのですが、この状態をキープするためにはルールが決められており、これが破られるとブレストは途端に機能不全に陥ってしまいます

また、もう一つとても重要な事柄として、事前に議題が周知されており、参加者各自がブレスト前に
情報収集やある程度の
アイデア出しができている
状態からスタートする
ことが挙げられます。ブレストは「アイデアの相互作用、誘発を狙う場所」であって「情報を得る場所、考える場所」ではないのです。

Aix Brainstorming
Aix Brainstorming / jeanbaptisteparis

ブレインストーミングの四原則

オズボーンが考案したブレインストーミング法で決められているルールは次の4つです。

  • 判断/結論は求めない

  • 粗野なアイデアOK

  • 質より量を重視
  • アイデアを結合していく

よく、誰かが出したアイデアの一つ一つに批評を加えたり、「そんなの意味が無い」と結論じみたことをいう人がいますが、これはブレスト的には完全にNGな行いです。ブレストはアイデアを出し合う場ですから、その場でアイデアを評価したり、結論を出す必要はなく、ましてや否定や批判を行って雰囲気をぶち壊すなんてことは最も避けるべき行為なのです。

また、ブレストの時には一撃必殺のホームランを狙うより、兎に角数を出すことを目指しましょう。沢山出したアイデア同士が結合したり、そこから新しいアイデアを誘発するためにも、出したアイデアはホワイトボードでも付箋紙でもいいので、絶対に書き出すようにしましょう

ブレストで失敗する殆どの理由が、この四原則を守らないことによるものであり、特に「判断/結論を求めない」を破ることで、途端に残念なブレストになってしまうことが多いように思います。

残念なブレインストーミングを脱出する5つのヒント

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残念なブレインストーミング

残念なブレインストーミングの例をいくつか挙げてみましょう。

  • アイデア出しを遮って持論の展開や議論になる
    (大体、知識自慢で終わる)
  • 「結局どういうこと?」と結論を求めだす
  • アイデアを評価したり、否定したりする
  • そんなくだらない事は言うなとキレだす
  • 事前準備をせずにぶっつけ本番で臨む
  • 出したアイデアを書き出さない(結合起きず)

基本的には、他者の意見をきちんと聞くべきですし、一方的にまくし立てたり、アイデア出しとは関係ない議論にすり替えられるブレストというのは何とも残念です。

また、人の出したアイデアに対して「結局何が言いたいの?」とか「そのアイデアイマイチだね」とかと結論を求めたり、否定的な事を言うのも流れをぶった切る残念な行為です。

ただ、もっと最悪なのは「そんなくだらない事を言うな!」とか「そんなことはもうとっくの昔に(俺が)考えてるんだ!」とキレ出す事です。ブレストに限らず、多くのアイデアはくだらない事、当たり前な事の隙間に転がっているものですからね。

また、事前準備を行っていないブレストは、往々にしてグダグダな物になりがちです。ある程度考えて来た内容が頭に入っている人同士が、それなりに自分たちが「面白い」と思うアイデアをぶつけ合う方が、良いアイデアに到達できる確率が高くなるのは言うまでもありませんね。

そして、最後に、出したアイデアを書き出さないブレストというのは、ほとんどアイデアの結合が起こらない点は注意が必要です。人の短期記憶なんてのは7±2個ぐらいしか、物事を覚えられないですからね。

ブレストでのベテランの効能と弊害

ベテランを如何にしてうまくブレストに組み込むかで、ブレストの質は大きく左右されます。これが全てというわけではありませんが、ブレストにおけるベテランの効能と弊害をざっとまとめると以下の様になります。

  • アイデアの素は「専門知識」や「業務経験」から出てくるため、”質”が高いメンバーは基本的に重宝する
  • よく言われるのが、ベテランはどっぷりその世界にハマっているため「観点が固まっている」「フレッシュな視点が欲しい」と言う
  • しかし、いざフレッシュな意見を言うと「わかってない」「そんなことはもう考えた」と批判に回ることもある

自らの質を究める。他人の質を見極める」でも述べた通り、コラボレーションを生み出すためには、豊富な「専門知識」と「業務経験」を持つベテランというのは、非常に重要な存在です

ベテラン自身、自分の物の見方が「凝り固まっている」と感じている場合が多く、新しいメンバーに対しては「フレッシュな視点が欲しい」という要望を行うことが多々あります。しかし、実際に意見を言うと「わかっていない」だの「そんなことはもう考えた」と言ってきたりするので、一見とても理不尽に見えてしまいます

ただ、冷静に考えればそれもそのはずで、物の見方が「凝り固まっている」と思う程にその事について「考え尽くした」人からして見れば、大体の事は既に考慮済みなのです。「フレッシュな視点が欲しい」というベテランは自分の想像の範疇を超えた、ぶっ飛んだアイデアを求めているわけですから、出てきたアイデアがありきたりな物だと、「期待外れ」だと感じてしまうのです。

Aix Brainstorming
Aix Brainstorming / jeanbaptisteparis

残念なブレインストーミングを脱出する5つのヒント

それでは、残念なブレインストーミングを脱出するためにはどうすればいいか?

そのヒントが次の5つです。

  • ブレストチームの組閣が大事
  • ルールキーパーの存在が大事
  • 事前準備を全員がしてくることが大事
  • ビジュアライザーの存在が大事
  • 諦めも肝心

一点目、ブレストチームの組閣というのは非常に重要です。知識や経験が豊富なベテランであったり、異なるバックグラウンドを持つ人同士であったり、発想力豊かな人であったりと、「自らの質を究める。他人の質を見極める」で紹介した”異質”を作り出すことを目指すと良いでしょう。

それと同時に、「パワーバランス」も非常に重要です。一人が突出して強すぎて他の人が押し黙ったり、本来なら輝いて欲しい人が、遠慮して何も言えない環境というのは、実に勿体ないものです。組閣時からパワーバランスを考慮し、ブレストの最中はファシリテートを行いながら、うまくバランスを取っていくことを意識すると良いでしょう。

二点目ですが、参加者全員がブレストのルールを知っているとは限らないので、ルールを説明したり、ルールから外れた人に対して注意を促す「ルールキーパー」を設けるのも有効です。ルールキーパーを設けることで、上手くベテランと新人の融和を図ることもできるかもしれません。

三点目、これは何度も言っていますが、事前準備はとても重要です。事前にテーマにそった情報収集を行い、ある程度アイデアを考えてくるようにしましょう。その方が、より実りあるブレインストーミングを行う事ができます。

四点目、ブレストを行う際は必ず「ビジュアライザー」を決めましょう。ホワイトボードなどに、そのブレストで出た内容を書き記しながら、時には線でつないだり、グルーピングを行いながら、その場の全員が同じ認識を持たせることがビジュアライザーの主な役割です。

最後に、諦めはとても大事です。例えば、一五分やってイマイチだと思ったら勇気を持って止める、準備不足だと感じたら仕切り直す、雰囲気がぶち壊されたので一度ブレイクを入れるなど、ダラダラ続けないようにすることが、実りあるブレストに繋がります。

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ブレストで使えるテクニック

最後に、おまけですが、ブレストで使えるテクニックを三点紹介しておきます。

  • KJ法 with 付箋
  • グループマインドマップ
  • 順連想と強制連想

KJ法というのは、元々はフィールドワークで集めた膨大な情報をカードに書き出し、まとめ方を考える手法として東京工業大学名誉教授の故川喜田二郎氏が考案した手法です。

発散思考であるブレインストーミングで洗い出したアイデアを付箋に書き出し、収束思考であるKj法でその付箋をまとめるというのは、割とメジャーな手法なので、ブレストの基本形の一つとして覚えておくとよいでしょう。。

Brainstorming
Brainstorming / lucamascaro

次に、グループマインドマップですが、これは一つのマインドマップを複数人で描いていくことでアイデアの誘発を狙う手法です。皆でノードにアイデアを書き出しながら、自分のアイデアや他人のアイデアから連想されたアイデアをどんどんと書き連ねて行きましょう。

Mind Map
Mind Map / Lindebornt

最後に、発想法の基本形として、順連想と強制連想という2つの型を紹介します。

順連想は、これまで挙げてきたような、素直な連想ゲームの形です。ひまわりと聞けば、黄色、花、夏といったキーワードを連想するのが順連想です。

強制連想というのは、アイデア出しを行う時に、特定の観点を切り口に考えようとする手法です。有名なものとして「オズボーンのチェックリスト」があるので、これを例に取ってみましょう。

オズボーンのチェックリストは大きく「転用」「応用」「変更」「拡大」「縮小」「代用」「再利用」「逆転」「結合」の9つの観点からなります。例えば、鉛筆を「他の用途で使えないか?(転用)」という観点で見てみれば、鉛筆は筆記用具という使い途以外にも、まっすぐな形状から物差しに使うことも出来るし、その硬さから束ねて木槌代わりに使うこともできるかもしれない・・・といった順連想では思いつかない様な答えにたどり着くことが出来るのです。

最後に

今回はブレインストーミング全般のお話と、守るべき四原則を取りあげ、

  • 判断/結論は求めない

  • 粗野なアイデアOK

  • 質より量を重視
  • アイデアを結合していく

陥りがち失敗事例の紹介、残念なブレインストーミングを脱出するための5つのヒントとして

  • ブレストチームの組閣が大事
  • ルールキーパーの存在が大事
  • 事前準備を全員がしてくることが大事
  • ビジュアライザーの存在が大事
  • 諦めも肝心

を紹介しました。また、ブレインストーミングで使えるテクニックとして、以下の三点についても取りあげました。

  • KJ法 with 付箋
  • グループマインドマップ
  • 順連想と強制連想

ブレインストーミングという手法は、現代の日本社会の中で馴染み深い物となっており、恐らくこの記事をお読みの皆さんも仕事の中でこの手法を実践されていることと思います。今回紹介したルール、ヒント、テクニックなどが、皆さんが行うブレストの改善のお役に立てれば幸甚です。

お知らせ

来る6/21(土)、青山のビジネスエアポートでプレゼンの練習会をやります。十数名ほどの人の前でプレゼンをする機会も、そこからフィードバックを得る機会というのも、そこそこに珍しいんじゃないかと思います。参加費も五〇〇円とお安くなっておりますので、是非こぞって御参戦下さい!私は10分プレゼンに挑戦します!

6月21日 東京ライフハック研究会 プレゼン練習会(東京都)
6/21、プレゼン練習会やります!

参考書籍

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