戦国時代の軍師「黒田勘兵衛(くろだかんべえ)」にまつわる出来事から現代のビジネスパーソンに役立つスキルを紹介する「軍師の心得シリーズ」。第7回では相手を楽しませ心を開かせる方法について取り上げます。
播州の小寺家に仕えていた黒田勘兵衛が、その小寺家の将来を託される形で初めて岐阜城の織田信長に会いにいく途中。黒田勘兵衛は、事前に織田信長の人柄を知る為に木下藤吉郎秀吉(きのした とうきちろう ひでよし)(後の「豊臣秀吉」)に会いにいきます。ここで秀吉は黒田勘兵衛をもてなし、たっぷり笑わせました。
その方法は、現代のビジネスパーソンの会話術でもそのまま活かせます。
その秘訣を一言で言うと、「自信をもって自分の欠点をみせること」です。
ここで黒田勘兵衛が岐阜城への旅の途中で、初めて秀吉という人物と会った際の会話を紹介しましょう。
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黒田勘兵衛:「織田信長さまが勢力を拡大できたのは、木下さまの力があったこそでしょう。その大変な苦労をお察しします。」
秀吉:「本当に忙しい日々でありました。おかげで近頃は。」と、髪の毛が薄くなった自分の額をポンとたたくと、「この通り、めっきり薄くなり、織田信長さまからは『はげねずみ』と呼ばれています。」
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文章だけを読めば、普通の会話に聞こえるかもしれません。しかしこの時、黒田勘兵衛は秀吉とは初対面のため大変緊張していました。そのため、最初は秀吉の活躍を称える言葉で会話を切り出しています。しかし、そんな時に秀吉が上記のような流れのお話をしたため、黒田勘兵衛は秀吉という人物をとても気に入りました。
このように自分の欠点を卑下するでもなく、謙遜するでもなく、さらっと話してしまう雰囲気が重要です。すなわち「自信をもって自分の欠点をみせること」は、相手の緊張をほぐし、相手との「見えない壁」を溶かしていくことでしょう。
■オススメのトピック・書籍
今月は、人との良い関係を作る為に参考になる著書を紹介します。
自分の小さな「箱」から脱出する方法 (著)アービンジャー インスティチュート
自分の感情だけにこだわらずに相手のことを考えて行動できるかどうか。人間関係を良くしていくために役立つ書籍です。

アラキ(Twitter:@arakinet)です。外資系経営コンサルタントを経た後、皆さんと一緒に世の中に新しい前例を創ることを目指すベンチャーを新たに設立。ワクワクする発見を求めて経営戦略立案やIT、新規事業に関する仕事をしている30代。大手からベンチャー企業まで様々な業界・業種の方々と関わりながら暮らしています。