ぱうぜセンセが書いていた以下のエントリ
こちらに思うところがあったので、ちょっとしたアンサーエントリーを書いておきたいと思います。悩みながらも、それなりに考えて進む道を選んできた、ある一人のアラサー男子の事例としてお読み頂ければ幸いです。
夢への最短経路を選ぶことが必ずしも正解とは限らない
■起業を志すも、就職という道を選択
私は高校時代から「起業したい」という想いを持っていました。そういう意味では、ぱうぜセンセのコメントボックス内で明日香さんが「お店を持ちたい」と言っていたのと状況的には似ているかも知れません。
ただ、大学在学時から学生での起業は考えておらず、「一度社会に出て経験を積んでから」と考え、就職という道を選びました。理由は色々とあるのですが、いくつか挙げてみると次の通りです
- その時点では勝負をしたいと思えるアイデアがなかった
- その時点では確たる専門性がなかった
- その時点で運命を共に出来る仲間がいなかった
- 社会経験を積んでから起業する方が成功の可能性が高そうに感じた
- 資本もなく、上の状態で融資は不可能に思えた
ざっくり言えば、自信が無かったんですね。実際に起業に向けてあれこれ行動を起こしたわけでは無いので、もしかしたらその時行動を起こしていれば何かしら違った結果になっていたかも知れませんが、今更タラレバの話をしても意味がありません。
あれから10年経った今、やっと先に挙げた5つを満たせつつあると感じています。パズルのピースで言えば、後は仲間一人を見つけ、作るべきモノを作り上げれば・・という状況まで来た感はあります。思ったよりも時間が掛かってしまいましたが、今でも足らざるモノを埋め、チャンスを虎視眈々と狙っています。
しかしながら、時が経つにつれて「社会的責任」と言う奴を背負うことになったため、今度は逆に軽々しい行動はとれない状況にあることも事実です。時間は有限であり、状況は刻一刻と変わります。待つことが常に得策であるとは限らないことも確かでしょう。極論を言ってしまえば、待っている間に死んでしまったら元も子もありませんからね。
就職という道を選択した今の状況をざっとまとめると
- 今は10年前に比べて起業に必要な要素が揃っている
- 今は10年前に比べて社会的に責任が大きくなっている
こんな感じですね。チャンスが今そこにあるなら思い切って飛び出してみるのも良いと思いますが、チャンスが見えないときには時間を掛けることも、遠回りをすることも必要だろうと思います。
■自らの足らざるを埋め、自らの道を切り拓け
さて、少し話が自分語りになってしまったのでもう少し一般論に寄せてみましょう。
人生というのある地点で区切りがあるように見えますが、その区切りが自分の一大決心を下すタイミングであるとは限らないことも多々あります。たまたま準備が出来ていれば、大学卒業後に起業を選択できるかもしれませんが、そうでないなら準備を”つづける”必要があります。
人生というのは連綿と続いているものであり、アイデアは考えつづけたその先に閃き、努力は積み重ねることで実を結び、一期一会の出会いはある日突然訪れます。制度上の区切りである大学卒業というタイミングと、自分の準備が整うタイミングが重なることの方が稀でしょう。(逆に、そういった区切りが、一歩を踏み出すキッカケになったりもするのですが)
今現時点で能力が不足しているなら勉強をすればいいし、スキルが身につく仕事に就いたっていい。仲間との出会いが必要であれば、実際にそういう人がいそうな場所へ顔を出す必要があるし、自分がやりたいことを声に出して周りに伝える必要があります。
自分に何が不足しているのかを考え、自分がすべきことを導出する
勿論、実際にはそんなには上手くはいかないものです。仕事が忙しくなったり、なかなか努力が実を結ばなかったり、ついつい誘惑に負けて怠けてしまったり・・。それでも、その環境、状況の中で何度も自分を戒めたり、何度もリトライしながら徐々に前に進むしか道はありません。
さもなくば、あなたは夢を諦めるしか無い
実にシンプルなルールです。勿論、本当に死ぬほど忙しくて手が付けられない事もあるでしょうし、ただ単純にさぼってやらない場合もあるでしょう。問題は手を止めてしまった期間では無く、何かと言い訳をつづけてその後も手を止めつづけることにあるのです。
■試してみることに失敗はない
まだ夢をつかめていない私の様な半端者が何を言ったって説得力に欠けと思うので、ここで一つ私が大事にしている言葉を紹介しておきたいと思います。
試してみることに失敗はない(pp29)
「仕事は楽しいかね?」という書籍で出てきた言葉なのですが、僕は仕事で大きな失敗をやらかして身も心もボロボロになっていた頃に、この言葉に出会い、文字通り救われました。(詳しくは以下の記事をご参照ください。)
【書感】改めて『仕事は楽しいかね?』は人生の座右の書であると確信した | Hacks for Creative Life!
この言葉との出会ったことで、失敗に対して随分前向きに捉えられるようになりましたし、ある物事に対して色々な「打ち手」を用意しておき、試行錯誤の中でベストなやり方を探すという仕事のスタイルを確立することができました。
実は、夢に対するアプローチもこの言葉に強く影響を受けています。例えば、これまでブログを書いたり、本を書いたり、勉強会を開催したり、アシタノレシピを作ったことも、夢に対して自分に足らないピースを見つけるための試行錯誤の一つです。
やっていること自体は夢への最短経路ではありませんが、この遠回りの中で僕は多くのパズルのピースを得ることができました。これを無駄と見るか、必要なステップだった見るかは自分次第ですが、私自身は必要なステップだったと感じています。
■最後に−夢に近づけば、夢はまた拡がっていく
最後に、ぜひお伝えしておきたい大事な事柄として、「夢に近づけば、夢はまた拡がっていく」を挙げておきたいと思います。
高校時代、IT業界での起業を志していたため、経営とIT(厳密にはシステム開発)の両方を身に付けるべく、大学では経営学科を専攻し、プログラマーのアルバイトを大学在学中の2年間ぐらいやっていました。この頃は夢に向けて右も左も分からず、兎に角やれることをやっていた感じです。
その後、起業以前に持っていた夢であるシステム屋になるべく今の会社に就職。これまで何度となく手痛い失敗や、炎上PJで死にそうになった経験などもありますが、結果、ある領域の中ではかなり尖った技術者になれたと自負しています。また、ブログや勉強会を通して、ビジネススキルが格段に向上し、仕事の成果に結びついています。
かつては、IT業界に入ること自体が夢で、入ってからは必死で食らいつく状況から活躍できる様になりたいと思うようになり、今では最前線で日々奮闘しています。最初の頃は自分の事で精一杯でしたが、徐々に他の人の役に立ちたいと考える様になった頃から、ブログを本格的に書き始め、本を執筆し、勉強会を開催するようになりました。
思えば、夢を追いかける中で、完璧な形では無いにせよ、かつて思い描いた夢を形にすることができたと思います。そうやって、夢に近づき、形にしていく度に、遠くに漠然と見えていた夢が、より鮮明になり、またその先へと新しい夢が拡がっていきました。
そんなわけで、私は夢というのは『叶う/叶わない』の二元論で語るべきものではなく、追い続けることにこそ価値があるものだと考えています。
もしも今あなたが進路に迷われていたり、あるいは自分がやりたいことに対して遠回りをしているな、と感じているのであれば、是非次の4点を思い出してみて下さい。
- 制度上の区切りと自分の準備が一致することは稀
- 自分の足らざる点を埋める努力は、止めてしまってもまた再開すれば良い
- 様々な試行錯誤は一見遠回りに見えるかもしれないが、必要なステップの場合もある
- 夢は追い続けることにこそ価値がある
参考文献

ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
BLOG:Hacks for Creative Life!
Twitter:@beck1240