仕事の基礎力を鍛える「ベーシックレシピ」シリーズ、まずは「自己管理」編からはじめたいと思います。途中で変更する可能性はありますが、自己管理については以下のトピックスを取りあげる予定です。
- 自己管理の仕組みを作ろう←イマココ
- 予定を管理しよう
- やることを管理しよう
- 予定とやることを書き出して時間を管理しよう
- 行動の記録を残そう
- 目標の考え方と立て方
- 目標を行動に落とし込む
■仕組み作りの重要性
■実践の前に「仕組み」を作ろう
「本を読んでも、なかなか身につかない。実践出来ない。」と感じることってありませんか?
私もその様に感じていた時期があり、「本をただ漫然と読むだけではダメだ、そこから何かアクションを起こさねば」とどこか焦りに似たような感覚を持っていました。
とりあえず見よう見まねでやってみる、というのは最初の取っ掛かりとしては悪くないアイデアです。ただし、何の脈絡も無く、ただ書かれていることをやってみるというだけでは、その場限りでやらなくなってしまう恐れがあります。
そこで重要になってくるのが「仕組み作り」です。
見出しの「自己管理の仕組み」と聞くと何だか難しく感じるかも知れませんが、そんな大層なお話でもありません。ただ、以下のルールを作り、日々それを実践するだけです。
- どこに、何を、どの様に記録するかを決める
- いつ、何をするかを決める
- 決めたことをルールブックとして書き出す
仕組みの中身は後述しますが、要するに、先に手順書を作っておき、いざやるときにはその手順書を参照しながらやるという、ごくありふれた手法です。
■先に仕組みを作るべき理由
実の所、いざ実践するときに思い出しながらやる、というのは現実的ではありません。多くの場合、そもそも思い出すこと無く「いつも通り」のやり方に戻ってしまいます。
例え本に書かれている内容を思い出せたとしても、「あれはどうだっけ、これはどうすればいい」と思い出しつつ、自分の課題や状況にあわせてやり方を考えながら作業を進めるというのは、非効率且つストレスフルです。
先に「仕組み作り」をやっておくべき理由は以下の通りです。
- 仕組みを作る課程で、一般論で語られている手法を、自分の状況や課題に併せてカスタマイズする作業が必然的に発生する
- 「思い出す」「やり方を考える」手間が省ける分だけ、いざ実践するときの効率向上とストレス低減が図れる
- 仕組みを明文化しておくことで、上手くいかなかった時の修正を行いやすくなる(試行錯誤がやりやすくなる)
- 一度仕組みを作り上げたあとは、新たに本やブログなどから得た知識を、仕組みを改善するという形でフィードバックしやすくなる
仕組みを考えたりルールブックを作ること手間以上に得られるものがありますので、是非仕組み作りに挑戦してみて下さい。
■自己管理の仕組みを作り上げよう
■どこに、何を、どの様に記録するかを決める
ここまでの話がかなり概念的な感じになってしまったので、ここからは具体的に「仕組みのつくりかた」についてみていきたいと思います。
自己管理の仕組みを作るにあたって、真っ先に押さえるべき情報が「予定」「やること(タスク)」「メモ」の3点です。いずれ「目標」や「記録」についてもとりあげますが、はじめの内はこの3点にフォーカスする方が良いでしょう。
まずはこれら3点の情報について、「どこに」「何を」「どの様に」記録するかを決めていきます。以下は私の例で、予定を「Googleカレンダー」、やることを「Toodledo」、メモを「Evernote」に記録しています。
inboxというのは情報をキャッチして一時的に保管しておく場所だと考えて下さい。手書きメモ(口頭で依頼されたこと、自分が思いついた事を含む)、スマホのメモ、メールなどは、一時的にはそこで保管を行いますが、定期的にそれらの情報をあるべき場所に移動します。
また、会社ではクラウドツールが使えませんので、その日の予定とやることを手帳に書き出し、業務時間内は手帳のみで作業を行います。クラウドが「全ての予定」「全てのやること」を管理する場所で、手帳がその日やることだけを抜き出した場所というイメージです。
ここまでは「どこに」「何を」の2点についてのお話でしたが、もうひとつ大事な点として「どの様に」を決めておくが挙げられます。詳細は今後の回で紹介しますので、一例として、手帳のデイリーリフィルの記載ルールを紹介しておきます。
ただ漫然と手帳に「予定」や「やること」を書き出すに留まらず、具体的に、どの部分に、何を書き出すかまでを予め決めておくとよりスムーズに運用できるようになります。
とはいえ、最初から手帳やクラウドツールを「こう使おう」という具体的なイメージがあるわけではないと思います。
最初は本やブログ記事に書かれているやり方を真似しつつ、徐々に自分のやりやすい様にカスタマイズをしたり、とりあえず「予定」と「やること」を手帳に書き出すところから初めて、徐々に色々なやり方を取り込んで行くなどのアプローチを取ると良いでしょう。
■いつ、何をやるかを決める
どこに、何を、どの様に記録するかを決めたなら、次は自己管理の仕組みを回すためのアクションと、それを行うタイミングを決めて行きましょう。
私の場合は、年のはじめに目標策定、週のはじめに週間計画、1日のはじめに日次計画、1日の終わりに日次レビュー、週の終わりに週次レビューというアクションを置いています。
それぞれ毎に、クラウドツール上でどんな作業を行い、手帳に何を書き出すかを決めています。詳細は今後の回で例として紹介していきますので、ここでは1週間の振り返りと週次レビューについて紹介したいと思います。
1週間の振り返りは手帳とクラウドツールの両方に行います。手帳は週の初めに「週間目標」を立てますし、日々計画と遂行を行いますので、週の終わりには週間目標の達成度合いと日々のギャップについての振り返りを行います。
クラウドツールは基本的には「全ての予定」と「全てのタスク」、そして「全ての情報(メモ)」が入っていますので、これらの情報を棚卸しします。
毎日行う日次レビューでもこれらのツールの情報を最新化するのですが、週次レビューでは頭の中にある事柄を書き出したり、日次レビューでは見ないEvernoteのノートまで棚卸しを行います。
ここでは、「週末に」「週次レビュー」を行い、更にその「週次レビュー」の中にも手順があることを例示しました。
今回例示したワークフローは、考え方としてはGTDと7つの習慣がベースになっています。今後の回でも取り上げて行きますが、原典にあたりたい方は是非「7つの習慣」と「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」を読んでみて下さい。
■ルールブックとして書き出す
仕組み作りの最後は「ルールブックとして書き出す」です。
ルールブックとして書き出すというと、印象としては「マニュアルを作る」と捉えられるかも知れませんが、逆に精緻なマニュアルは日々参照しながら仕組みを回す用途には向きません。
日々、参照することを考えるのであれば、一目で分かる様ビジュアル化や日々のやることリストへの組み込み、チェックリスト化がオススメです。
例えば、今の手帳運用をはじめた2010年ごろにはこんな感じで、手帳のどこに何を書くかをビジュアライズして手帳に貼り付けていました。
各作業の手順や情報の流れについても同様にビジュアライズして貼付け。
また、先ほど紹介した週次レビューはもちろん、日次レビューや週間計画はその詳細な手順も含めてタスク管理ツールに繰り返しタスクとして登録されています。
仕組みを考えるだけに留まらず、それを日々目につく場所にルールブックとして書き出す。地味ですがこの作業が無ければせっかく考えた仕組みも、結局はほとんど取り組まれることなく、徐々に記憶の彼方へと消えていく顛末を迎えることになるでしょう。
■最後に
のっけからちょっと長くなってしまいましたが、今回は「自己管理の仕組み」について取りあげました。「自己管理の仕組み」を作りたいと思われた方は、ぜひ以下3点に取り組んでみて下さい。
- どこに、何を、どの様に記録するかを決める
- いつ、何をするかを決める
- 決めたことをルールブックとして書き出す
とはいえ、今回は概論ベースなので、もう少し具体的な内容が分からないと取り組むのは難しいという方も多いと思います。次回以降、予定、やること、時間、記録、目標といった事柄それぞれの管理方法について取り上げて参りますので、是非そちらもご参照下さい。
参考書籍
今回書いた内容みたいな話が綺麗にまとまっているのは次の拙著です・・が、ちょっとマニアックな本なので、是非ベーシックレシピで学んだ後に応用編として読んでみて下さい。
ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
BLOG:Hacks for Creative Life!
Twitter:@beck1240