先日ぱうぜ女史から以下の様なネタ振りを受けました。
(対応遅れてすみません!!)
確かに実地でチームプレゼンを作ってはいるので、いくらかはコツみたいなものはあるにはあるのですが、こう言うのってチームを構成するメンバーの性質や業務内容によってケースバイケースなので、細かなテクニックを紹介しても的を射た内容にするのは難しそうです。
ということで、今回は「チームでプレゼンを作り上げる3つのコツ」と題して、考え方や仕組み作りといった少し引いた一からのからのアドバイスをまとめてみたいと思います。
■チームでプレゼンを作り上げる3つのコツ
■「とりあえずブレスト」の罠を回避せよ
プレゼンに限らず、何かしらの準備作業でよく陥るのが「とりあえずブレストでもしますか」の罠。
正直言って、常々その事について考えている人達が集まる場合を除けば、ブレインストーミングでポッと出たアイデアで思いつきの域を出ていて、発想の誘発が起きるような「尖ったアイデア」が生まれるなんてそうそうありえません。
大体の場合は事前情報に個人差がありすぎて、詳しい人から詳しくない人への知識のトランスファー会議になってしまいます。これはレクチャー会であって、ブレストではありません。
「否定しない」、「質より量を優先」というブレストの大前提を守ることは勿論大切ですが、量を出すためにも、また多少なりとも「面白い」と感じさせ発想の誘発を招くためにも、「事前準備」はとても大切なのです。(なんでブレストについて書かれた書籍でこれについて触れないか不思議。)
「事前準備」の内容を具体的に挙げると、参加者が皆「情報収集」と「考える」プロセスを経ているといことです。理想を言えば、既に「ユリーカ!」となっている状況が望ましいのですが、そこまで求めるとブレストのハードルが上がりすぎて参加者のやる気を削ぐ恐れがあるので、止めておきましょう。
ちなみに、アイデア発想の基本的なフレームワークをおさらいしておくと、
1.情報収集
2.情報の咀嚼
3.情報の組み合わせを考える
4.「ユリーカ!」(アイデアを思いつく)
5.アイデアのチェック
となります。詳しくは「アイデアのつくり方」を読んで頂けると良いのではないかと思います。
ブレストの前段としてやっておきたいのはこの中で1と2。3をブレストでやるのですが、1と2を事前にやっていると、多少なりとも組み合わせは考えてしまいますので、「ユリーカ!」に至らずとも、いくらかのアイデアは思いついているのが常です。
ただ、闇雲に各人が「情報収集」と「情報の咀嚼」を行っても効率が悪いので、チームでこのプロセスに関する仕掛けを作ることをお奨めします。
例えば、Evernoteで情報収集のノートブックを全員で共有したり、 FYI(For Your Information)メールをメンバー各人が積極的に展開することを奨励したり、朝礼やグループミーティングで発表したりと、やり方はチームのITリテラシーや各人の性格にあわせて工夫して下さい。
■プレゼンアイデアを育てる為の役割分担を決める
プレゼンのアイデアを生み出せたなら、次にやることはそのアイデアを育てることですが、その為に必要になるのは「メイン(語り手)」と「必要悪」です。
「メイン(語り手)」というのは、要するにそのプレゼンアイデアについて「想い」や「こうすべき」を持っているメンバーで有り、多くの場合はプレゼン全体のクオリティーコントロールを兼ねる役割でもあります。この役割の重要性は後ほど述べます。
「必要悪」というのは、「悪魔の代弁者(デビルズアドボゲーター)」の事ですが、これについては以前ぱうぜ先生が以下の記事を書いていましたね。
「悪魔の代弁者」が有効なのは、特にアイデアに対する反論への対応を考えるフェーズです。生まれたてのアイデアは言わば隙だらけの状態です。ちょっと考えただけでそのアイデアを叩きつぶす為の反論を思いつくことができます。
ブレストでは「否定しない」という大前提があるため、生まれたアイデアが即その場で潰されることはないのですが、そのままでは上位者の「レビュー」や客先からの「質疑」を生き抜くことは出来ません。
それを防ぐのが「悪魔の代弁者」です。チーム内のメンバーに予めその役割を割り当て、想定される反論、ツッコミ、質問をぶつけて貰うことで、アイデアの弱点を補強していきます。
この「悪魔の代弁者」の反論・質問に対して基本的には「メイン(語り手)」が説明を行います。多くの場合、「メイン(語り手)」は自分の考えを全てアイデアに反映できていないため、反論や質問を加える事で、頭の中からまだ書き出せていない事柄を書き出していくのです。
「メイン(語り手)」で解決出来ない反論は、チームメンバー全員で解決を図ると良いでしょう。
■キーメッセージとアウトラインまでをチームで共有する
アイデアをまとめる段階からドキュメンテーション段階への移行に於いて「どこまでチームで行う必要があるのか」を決めておくことは大変重要です。
大方の予想通り、「資料を各自作成して持ち寄ろう」というのは大変危険な賭けです。チーム内で互いの理解が高い状況であれば、互いを補完するために動くことができるのですが、そうで無い場合は恐らく重複した作業を行ったり、下手をすれば「車輪の再発明」を行いかねません。
作業分担時の非効率を防ぐために、チーム内で各自が動く前に「キーメッセージ」と「アウトライン」を決めておくことをお奨めします。
キーメッセージというのは、大きくは「そのプレゼンで伝えたいこと」ですが、「そのスライドで何を伝えたいのか」というスライド毎のキーメッセージまで意識を併せておくと良いでしょう。
アウトラインというのは資料の大まかな流れです。起承転結や、序論本論結論という言葉は多くの人が聞いたことがあると思いますが、これらは将に典型的なアウトラインです。例えば、ソリューション提案系のプレゼンであれば以下の様な構成が考えられます。
・エグゼクティブサマリ
・背景の整理
・課題の整理
・課題に対する解決策
・具体的なソリューション案(3案)
・メリット/デメリット(3案)
・導入事例或いは統計データ(データ)
・案の比較
・結論
資料の構成は仕事によって求められるものが変わると想いますが、基本的な構造は「主張」に対する「論拠」と「データ」の提示にあります。
上記の構成例の場合、ただソリューションを紹介するだけで無く、課題を整理し、それに対する解決策を示すことで「このソリューションが課題に対して有効である」ことを証明しています。
ただ、データというのは本当にその証明が正しいかを客観的な情報で補足する物です。例えば、商品であれば導入事例とそこで得られた効果などは良いデータとなりますし、そういった情報がない場合は広く公開されている統計データなどでそのロジックが正しいことを証明すると良いでしょう。
この様に、どの様なアウトラインで資料を作成するかを考え、資料全体として何を言いたいのか、一つ一つの資料で何を言いたいのかをチーム内で共有することで、その後の分担作業の精度を飛躍的に高めることができるのです。
■最後に
ちょっとぱうぜ先生に寄せられた質問に答えられているかといえば「?」ですが、チーム内コラボレーションに於いて重要なコツとして以下の3点を挙げさせて貰いました。
- 「とりあえずブレスト」の罠を回避せよ
- プレゼンアイデアを育てる為の役割分担を決める
- キーメッセージとアウトラインまでをチームで共有する
もう少し具体的な手法などが必要な場合は、どういったことで困っているかをお知らせ頂ければ補足説明を加えますので、是非是非ご意見頂ければと思います。
参考資料
ベックです!
横浜在住大阪人。本職SE。ガジェット、文具、手帳、ライフハック、モバイルが大好物な30代男性。BLOG「Hacks for Creative Life!」が主戦場です!。『EVERNOTE情報整理術』『クラウド「超」活用術』著者。勉強会『東京ライフハック研究会』の主宰者でもあります。
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