大学祭が終わって中間テストも終わって、ようやく学内の雰囲気が落ち着いてきたなあ・・・お、向こうにみえるのは一年生のさくらさんたちだ。
「あ、ぱうぜセンセ、お久しぶりです・・・」
あれれ、なんだか元気がない。
「やることいっぱいで回らなくなってきました。忙しすぎるんです・・・どうしましょう」
どうも、お疲れモードのようだね。カモミールティーでも飲みながら、研究室で話を聞いてみよう。
(前回のお話はこちら)議論の流れと心の声をとらえる「3本線ノート」~ぱうコメ番外編その2
思った以上に忙しい学生生活
「さくらさんと同じサークルのつばきです。ぱうぜセンセの基礎ゼミはかなり面白かったって、さくらさんから聞きました」
へえ、さくらさんたちは、お互いの基礎ゼミの内容を話しているんだね。
「ええ、ぱうぜセンセのゼミでプレゼン大会やったじゃないですか。あれのお題を、『自分の基礎ゼミの内容をみんなに紹介しよう』に変えてやってみたんですよ」
そりゃあいいね。
「だから、だいたいの内容はわかっているので、そのつもりで私にも教えてください」
うん、あとでつばきさんが受けた基礎ゼミの内容も教えてもらおうっと。
「それで、さくらさん、なんでそんなにヘトヘトなの?」
「センセ、あたし、バイトもはじめて、サークルも学祭でがんばって、それで授業もとって」
「もっというと、サークルの仲間で自主ゼミも始めて」
あ、これはタスクがパンクしちゃったんだな。
「だんだん寒くなってきたからかもしれないんですけど、朝なかなか起きられなくなっちゃって」
「それで大好きな講義を寝過ごしちゃって凹んでいるのを慰めているのが今、っていうわけなんです」
「たぶん疲れてるんだよ、それ・・・」
「そりゃあわかってるんですけどね・・・あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、って」
充実した学生生活を送っている証拠なんだけども、ちょっと辛くなってきちゃったかな。
「でもさあ、さくらちゃん、この先これ以上暇になるなんてこと、ないよねえ」
・・・お、つばきさんはかなりの現実主義者のようだ。
「うぐぐ・・・そうなんだよね。センセ、センセの学生時代はどうだったんですか?」
・・・こ、これは正直に答えた方が良さそうだ。
「うん、あたしも学部1年の今頃、一回いろんな物事が破綻したよ」
いまでも覚えているんだけど、サークルの重要な会合寝過ごしちゃって、おんなじ様なことを言ったら、同期に言われたんだよなあ、キッツい正論を・・・
「こう言われたんだ。『ぱうぜ、自分のキャパシティをオーバーするような引受けして、他の人に迷惑かけるのはサイテーだぞ』って」
「「あ、それまさに今の・・・」」
「しかもね、つばきさんの言うとおり、この先これ以上暇になるなんてことはないよ、たぶん」
「はあ、どうしたらよいんでしょう・・・」
最初の下ごしらえ:全部書き出す
「とりあえずまあ落ち着いて。いまやりたいこと、やらなきゃいけないことを、いったん全部書き出してみよう」
タスク管理の第一歩:タスクを頭の外にすべて書き出す
JMatsuzakiさんはデジタルツールをすすめていますが、最初はノートでも紙でもOKです
「全部書いてみたって、何も減らないですよ・・・」
「まあまあ、これはタスク管理の『下ごしらえ』だから」
大きな紙を取り出して、やってもらうこと早10分・・・
「ちょっと時間がかかりそうですね」
「本気でやると1時間はかかるから、これはあとでやってみてね」
3つの方策
「ぱうぜセンセは、結局どうしたんですか?」
「うーんと、対策は3つあると思うんだ。とくにさくらさんたちみたいな、学部1年生の場合には」
まだまだやれることがあると思うからこそなんだけどね。
「1つめは、やれることの大きさ、『キャパシティ』を広げてしまうこと。まだまだ成長途上だからね」
「2つめは、やりたいことに優先順位、順番を付けること」
「そして3つめは、『どうせやるなら二毛作』だ」
ふたりとも、きょとーんとした顔をしている。
「ちょっとわかりにくいかな・・・うーん、時間切れになりそうだから、今日は1つ目だけ解説するよ」
大学1年生から見てみると
「君たちから見てさ、『ぱうぜセンセどうしてそんなに仕事早いの』って思うこと、あるかい?」
「こないだの、Twitter上の授業とか実況とか、正直おどろきました」
台風の #休講ニモマケズ 環境法初回講義(横田明美 @akmykt) – Togetterまとめ
台風で休講になったんで、やけになってTwitter上で授業をしました
元祖ライフハック=「知的生産の技術」とセンスを磨いて情報発信の達人になるには? #梅棹本 トークイベント実況ログ – Togetterまとめ
イベントの登壇者の発言&ハッシュタグ&自分のコメントという形式で連続ツイートをしてまとめました
「あれって、ほんとに書き貯めとか無しでやったんですよね」
「そうだよ。授業でしゃべっているとおりの時間配分でやったからね」
「パソコンで?どうしてそんなに早く打てるんですか?いつ練習したんですか?」
「・・・実はね、これは学部1年生のときにチャットにハマったからなんだ」
MSNメッセンジャーとか、ああいうサービスですね。
「チャットだと、しゃべるのと同じスピードで打たないと話についていけない。当時は携帯ではそういうのできなかったから、パソコンでやったよ」
「うらやましいなあ・・・」
「あれ、なんで?」
「パソコンって、いま家族共用のしかないんですよ」
「あたしは一人暮らしなんで、パソコンは大学で使うだけですね」
・・・なんとそれはもったいない。
「あれ、バイトしてるんだよね?だったら、真っ先にバイト代を充てるべきなのは、『自分専用のノートパソコン』だと思うよ」
「でも使う機会が・・・高くないですか?」
「レポートだってパソコンで書くでしょ?『授業ノートの定期試験直前まとめ』だってパソコンでやってもいいんだよ。とにかく使い倒してみて、タイピングを道具として意識せずに使いこなせるくらいまでいってみようよ。WordやExcelが動かせるくらいのスペックでいいのであれば、あたし達が学生の時に比べたらずっと安いしね」
「・・・そうすれば、色々なことにかかる時間も早くなりますかね」
「そうそう。これがキャパシティを広げるってことの一例だね。英語を道具として使えるくらいになろう、っていうのと同じくらい、イヤそれ以上にタイピングができることは大事だよ」
「そういうもんなのか・・・」
「そういうもんだよ。スマホだけで全て済む世の中にはまだなっていないんだから」
ああ、時間切れだ。次の授業に行かなくては。
「キャパシティの広げ方についてはもうちょっとコメントしたいから、とりあえず『下ごしらえ』をやってみて、来週もう一度きてくれないかな」
まだちょっと困った顔をしながら、さくらさんとつばきさんは帰っていった。(つづく)
◇ぱうぜセンセのメモ◇
うーん、この問題は奥が深いんでなかなか終わらないな。ただ、「かつて自分も歩んだ道」なのはまちがいないので、一緒に考えて行きたいな。
編集後記
今日の内容、99%おなじ会話をしました、それも複数の学生と。最近の学生にとっては、パソコンは昔のもの、ということなのかもしれません。さて、この話は次回にも続きます。学生目線のタスク管理編、ということですね。
タスク管理といえば、junさんの電子書籍を学生にはすすめています。どうぞごらんください。
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いつもスマホで読んでます
なお、最近一番うれしかったのは冒頭の「基礎ゼミを仲間内でやってみた」っていうことばでしたね(ここも実話)。教員冥利につきます。
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2013年春から大学教員になった駆け出しの研究者。専門は行政法。
個人ブログとして対話をテーマとした「カフェパウゼをあなたと」を運営中。
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