「あれ、ぱうぜセンセ顔色悪いっすね・・・」
たまたま通りかかったのでぱうぜ研究室によってみたら、なんだか調子悪そうだ。
「やあ映二くん、お久しぶり。今日はどうしたの?」
「あ、実は、勉強とはあんま関係無いんですけど・・・」
「一人暮らし始めたいんですが、なんかやっておいた方がいいことありますか?」
こんなこと大学の先生に聞くなよ、って言われるかもしれないけど、最近の悩みっていうとこれなんだよなあ。
(前回のお話はこちら)やることいっぱいどうしよう?その4:どうせやるなら二毛作
自宅生の悩み
「あれ、今は実家から通ってるんだっけ?」
「はい、だいたい2時間くらいかかるんです・・・1限が辛くて辛くて」
「そりゃあ辛いね。私も大学1.2年のときはそれくらいかかってたから、わかるよ」
「この大学、図書館がスゴく良いのでけっこう夜遅くまで残っていろいろやるんですけど、そうすると夕飯が遅くなっちゃって」
「で、我慢できずに外食したりすると食事代もかなりかさむし」
「両親に相談したら、『社会人になる前に一人暮らしするのも経験だからかまわないよ』と」
自転車で通える範囲に一人暮らししてる友人達が羨ましくってしょうがないんだよね。
「プチ一人暮らし」で試してみる
「そうだなあ・・・映二くん、一人暮らししてる友人の家に泊めてもらったこととかあるかい?」
「はい、あります。サークルの友達んちで何度か。ホームパーティが好きなヤツがいるんですよ」
夏休みにみんなでスマブラ大会したの、楽しかったなあ。
「そしたらね・・・『一人暮らしの練習がしたいから、お客さん扱いしないで1泊させて欲しい』って頼んでみては」
「え、どういうことですか?」
「一人暮らしって、けっこう面倒くさいこと沢山あるんだよ。洗濯をして、干して、かわいたのをたたむとか、ゴミ捨てとか・・・。台所の生ゴミとか、捨てたことあるかい?気を遣わなくていい友人がいるなら、『ふだん家でしていることを手伝うから、教えて欲しい』って頼んでみるんだよ」
あ、そういうのみんな母さんに任せっきりだわ・・・生ゴミ捨てるのってどうやってやってるんだっけ?
「そうか、実家だとついつい甘えてしまってますね」
「得意なことも不得意なことも全部ひとりでやらないといけないからね。もし友人に頼むのが面倒なら、ちゃんと家族に頭下げて『家事全部教えてください』って頼んでみて。どっちが面倒かは家庭環境とかにもよるけどね」
「たしかに、家では面倒がってやらないけど合宿所とかだとできたりするから、どっちが向いてるかは人によるのかもなあ」
「最低限」を身につける
「そういや、センセちょっと調子悪そうですけど、どうしたんですか?」
「ああ、こないだの朝、急な腹痛で目が覚めてね・・・胃がキリキリして、その日はなんとか講義とゼミを終えたんだけど、翌日から2日ほど通院と検査で大変だったんだよ」
うへえ、いっつも元気そうなぱうぜセンセでもそんなことあるんだ・・・
「そうすると普段食べてるものが食べられなくなるでしょ。おかゆの買い置きが切れてて、大変だったよ。まあ、冷凍庫に作り置きの野菜煮込みと冷凍ご飯があったから、それをあわせて雑炊にして事なきを得たけど」
「なんだかんだ言って、用意がいいじゃないですか」
「でもねえ、これで料理が出来なかったらと思うとぞっとするね。消化のいいものを食べようと思うと、外食できないから。映二くんは料理できる?」
あ、う・・・俺、家庭科の調理実習でも洗い物係だったわ。
「調理実習はなんか手際の良い友人が、ぱぱっと・・・」
「・・・高校卒業して1年経ったけど、もしまだ家庭科の教科書があったら取っておくと良いよ」
あったかなあ・・・
「とはいえ、真っ先に捨てがちなものだから、かわりに『教科書にあたるもの』を一冊用意しておくといいね」
「うーん、どんなのがいいんですか?」
「主婦向け雑誌を出している出版社が出している、写真入りの解説が沢山あるものを持っておくといい。一番のオススメはこの本」
「アマゾンのサイトでちょっとだけ中身が見れますね・・・あ、下ごしらえのやり方まで載ってるし、アイロン掛けとかもあるなあ」
「そうそう。あと、さっきのエピソードにもあるけど、一人暮らしだと食材余らせがちだから、冷凍のやりかたを知って買ったらすぐにばらして冷凍してしまうっていうのがオススメ。さっき紹介した本にも載ってるけど、冷凍と下ごしらえに関する本は一冊あったほうがいいかも」
「へえ、キノコとか小松菜って、ざっと洗って切ってビニール袋にいれて凍らせておけばいいのか・・・」
「この手の本は大きめの本屋さんにはいっぱいあるから、好みの本を選んでみて」
実家のありがたみがわかる
「寝込んだときのこととか、あんま考えたことがなかったですね」
「結局今回は、実家から親に数回来てもらったけどね。実家はありがたいものだよ。ただ、一度一人暮らしを経験してみないとわからないことってかなり多いし、はじめての一人暮らしとはじめての就職とか、はじめての留学とかが重なると結構大変だから、今のうちにやっておくというのはアリだと思うよ」
「まずはお試しを少しずつしてみて、それから考えてみますね」
「うん。『休日のお昼ご飯を家族の分全部つくって、洗い物もする』とか、少しずつバラして慣れていって、『教科書を見ないでもできること』を少しずつ増やしていくといいんじゃないかな」
◇映二くんのメモ◇
ぱうぜセンセも長い通学時間で苦労したんだなあ・・・。あれ、そういや面倒くさいことの例って、実体験かな?
編集後記
今回は1月中旬にある学生から聞いたことを元に構成してみました。体調不良話も実話です。みなさんも急な体調不良にはどうぞお気を付けて。備えも忘れずに。
自分自身が(ほんとうの)一人暮らしをしたのは博士課程に入ってからで、その前から夫と同居していたので、未だに掃除・洗濯が苦手です・・・。一人暮らし歴が長い夫のほうが得意なんで頼りすぎている感があります。
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2013年春から大学教員になった駆け出しの研究者。専門は行政法。
個人ブログとして対話をテーマとした「カフェパウゼをあなたと」を運営中。
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