目からウロコの子育てレシピ2 「するなといったことをしたがる子への適切な対応とは」

こんにちは!Lyustyleです。目からウロコの子育てレシピ第2回目は,「するなといったことをしたがる子」にいったいどのように接したらいいのか,ということについてお話します。

大人は子どもになぜ「するな」というのか

そもそもなぜ大人は子どもになぜ「するな」というのでしょうか。ここから課題を切り分けていきたいと思います。

大きな危険が目の前に迫っている

まず、大きな危険が目の前に迫っているときです。

赤信号なのに渡ろうとした、燃えているストーブに触ろうとしている、扇風機に近づいて羽に指を入れそうだ・・・。

そのようなときは、ことばいぜんにからだをつかって止めに入ることになるでしょう。

「するな」というより,体を張ってでもさせてはなりませんね。

その子が後で困ることがないように先取り

こんなことをしていると、きっと後から困ることになる。この子の未来のためだ、やめさせなければ,という先が見えるゆえの先取りです。

失敗させないためにあらかじめ先回りをして,先に見える不利益から回避させるための「するな」ですね。「子どもだけでお店に行くな」「漫画ばかり読むな」「くだらない遊びをするな」などがこれにあたるでしょう。

軽微な危険への遭遇回避などもこれにあたるでしょう。木や塀に登りたがるのを危ないからやめさせるとか。カッターや肥後守(わかる人,いるのかな)はケガをするので持たせないとか。

人に迷惑をかける心配

公共交通機関の車内で大声で喋るとか、店内で走り回るとか,そんなことを続けていたら,きっと回りから叱られる・・・。だから「じっとしてなさい。動き回らないで!大きな声でしゃべらないの!」もうハラハラの連続です。

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しかし,子どもたちは大人の思惑などまったく考慮しません。したいものはしたいのです。

悪いことであろうがなかろうが、やりたい。先に待ち受けている危険や不利益など,今はなにもないのだから関係ありません。子どもにとっては、それをすることが心の安定につながります。また,親の禁止を押し切って実行することによって伸ばされる能力だってあります。

だから厄介なのですけれども。

大人の都合と,子どもの都合との折り合い

先ほども述べたように,「するな」の対象には、軽微なこともあれば、命に関わるほどの重篤なこともあります。ストーブに触ってみたいからといって、「それに触ってみなければ安心しないから」と放置しておくことはできません。ストーブに触って目的を達して安心した瞬間、取り返しのつかないような大やけどを負ってしまっては元も子もありません。心の安定や能力の伸長どころではないのです。

しかし、させたくない理由が全く大人の都合にある場合。

自分の心配の回避や、面倒なことになるのはいや、という理由の場合、その「するな」は子どもにとっては納得ができなかったり、余計なお世話だったりします。

したがって,子どもの都合と大人の都合との間で折り合いをつけることが必要になります。

そのためには,なぜこの子はそれをしたがるのか、というこを知ることが必要です。

子どもにも、それなりに理由や都合があります。発達途上ではありますが、一個の独立した尊い人格です。その歳なりの切実な理由があります。だから,一概に「するな」ということはできません。「ならぬものはなりませぬ」は安全上のこと,社会規範上のことでは必要ですが,大人側の都合だけでそれを言うことはできません。それだけでは子どもの様々な能力は成長でないからです。

有無を言わずに阻止しなければならないのか、我慢して乗り越えさせなければならないのか、自分で解決しなければならないのか、それぞれ切り分けてみることで、適切な対応が見えてきます。

様々な「子どもの都合」

それでは,子どもの様々な都合についてみてみましょう。

ここでは7つの例について述べてみたいと思います。

・するなといわれても,そもそも,それをしてはならないということを知らなかった例

・するなといわれてもやるまで気が済まないという例

・心理的な埋め合わせによる代償行動である例

・自分に注目してほしいからする例

・犯行によって権威と張り合うためにする例

・発達上の何らかの障害による例

・他者からの強制によりやむなくする例

ひとつひとつ見ていきましょう。

それをしてはならないということを単に知らないでする

そもそもまだそれをしてはならないということを知らないことがあります。

私の息子が、4歳の頃、パン屋でジャムをとってきてしまったことがあります。

家に帰るとジャムを大事そうに手のひらから出しました。びっくりしました。我が子は万引きをしてしまったのか。

人のものをとってはならないということは日ごろからしっかり教えているつもりでした。

しかし,あれだけ言っているのにとってしまった。

こんなに小さなうちから店のものをとってくるようでは大変なことになる。

もう本当に青ざめました。

しかしつれあいが話を聞いてみると、違う姿が見えてきました。

レジのところにあるバケットに山盛りに入れてあったので、コーヒーに入れるミルクのように欲しいなら持って行きなさいというものだと思ったということです。

それが商品であることを知らなかったのです。すぐに息子にそのことを教えました。そしてそれは勝手に持ってきたら万引きと同じことになると話しました。そして店に戻り、わけを話して息子と一緒に謝りました。もちろん、息子はその後、店のものを勝手に持ってくることはなくなりました。とってはいけない商品であるということを知ったからです。

こういう場合は知らないだけなので教えてあげればいいですね。

やるまでは気が済まないからする

子どもの頃、あれは私が3年生くらいだったと思いますが、いつも行く裏山に切り立った崖があり、足をかけて登れるように誰かが穴を穿っていました。10メートルくらいはあるがけです。上級生のお兄ちゃん達でも登らない、子ども心にもやばいと思ってしまうような高くて急ながけです。

それでも登って見たくてウズウズしていた私は、あるとき友達の制止も聞かずに崖の穴に足をかけてしまいました。結果は御察しの通りです。中ほどあたりでそれ以上登れなくなり、かといって降りることもできず立ち往生してしまいました。

子ども心に「これは、詰んだ!もうおしまいだ」とおもったことをよく覚えています。どうしようもなくなってそのまま手をはなし,崖を滑りおりたわけですが、お腹も手のひらもすりむけてしまいました。

立ち往生しているときは、しなきゃよかったと心から後悔しましたが、滑り降りた後は泣きながらも何事もなかったかのように家に帰りました。

私は気が済んだのです。

生死やケガに関わるので、例としては適当ではなかったかもしれませんが、子どもにとっては自分で解決しなければならない課題があるという意味合いはおわかりいただけたのではないでしょうか。

安全や反社会的行動に結びつくものでない限り、その結果が親の面倒程度で済むのなら目をつむって完結させてやることも必要です。

私の息子は、1歳くらいの頃,毎朝私の本棚の本を全部引っ張り出していましたが、そのあとのお片づけを一緒にしているうちに何かが自分の中で解決できたのでしょう、そのうちやらなくなりました。経験することによって解決できた課題,伸ばせた能力がきっとあったはずです。

心理的な埋め合わせによる代償行動

いつも毛布を持っていないと気が済まないとか、ずっと髪を触り続けているなど、自分の意思と関係なくやっていることがあります。

ダメとわかっていてもいつの間にかやっている。大人は困った癖だ、とおもってやめさせようとしますが、無理してやめさせると隠れてするようになります。

そして、そういう自分を悪い子だと思って苦しむようになることがあります。

その行為を心理的な埋め合わせによる代償行動であると親や教師が受け止めたら、その原因を突き止めることになりますが、「あなたは何で髪を触り続けているの」など直接的な問いただしは意味がないでしょう。本人にもわからないことが多いのですから。

ここでも必要なのはその子の話を傾聴の姿勢で聴くことです。何か話したそうだったら一心に聴いてあげてください。何らかの答えが見つかるでしょうし,聴いてあげること自体が次第に解決に結び付くこともあるでしょう。

また専門家によるカウンセリングなどもあります。

自分に注目してほしい

そのことをしたいかどうかにかかわらず、親、先生などの注目を浴びたいために何かをする場合があります。

ものを破くとか、わざと服を汚すとか、いたずら書きをするとか,机やいすをどんどんならすとか。叱られるという関係づくりにより、相手を自分に注目させ、独り占めしようとするのです。

だから、叱るとそれが成功体験になる。つまり、「叱ってもらえた」ということになり、同じ行動を繰り返していきます。

いくら叱っても同じことの繰り返し。子どもに改善が見られないので、親や教師は疲弊していきます。

ここでの適切な対応は無視することのように思いがちですが,そうではありません。無視するともっとひどくなるか、自尊感情を傷つけてしまうか、ということになるからです。

「そんなことしなくてもちゃんと◯君のことを見てるんだよ」と言葉で言ってあげたり、良いことをした時に嬉しがってあげたり(ほめるのではなく)などをくりかえして、悪いことで注意をひくという行為は必要ないことに気づかせてあげることがここでの適切な対応になるでしょう。

それまでは、気をひく行為の後は叱ってやめさせようとするのではなく、「こまったな」「かなしいな」などと言いながらたんたんとその場を片付けたり、「一緒に元に戻すのを手伝ってほしい」と頼んだり、などにより、叱られて注意を引くという効果を打消しつつ、むしろ良いことをすることへ注意を向けていくことがいいですね。

反抗によって権威と張り合うためにする

反抗自体は悪いことではありません。その子の発達場必要な時期になれば始まり,時期がくれば終わります。

その中で,イライラするからつい反抗するというのではなく,自分の居場所を優位に保つために反抗するということもあります。

権力争いをしている子どもにとっては,相手をステージにのせたこと自体が成功体験になります。

だから,「片づけなさい」「うるせーなー」などという反抗に「なんだその態度は!」と受けて立つと、同じステージに乗ったことになります。この場合,受けて立たずにすぐに降りて勝負自体をしないという対応も必要です。

「片づけなさい!」「うるせーなー!」「しかたないな。虫の居所が悪いんだろうな。私が片づけよう」と,たんたんとすすめるのです。

しかし,口答えをされると,イラッときてしまい,まともに受けて立ってしまいがちです。そういうときもあるでしょう。

「そもそも,口答えに対しては厳然と叱らなければならないんじゃないのか,自分からおりるなんてだめだ。大人の責任放棄だ。」

そのように思うこともあると思います。しかし,降りるというのは反抗から逃げるということではありません。決してちやほやするのではなく,それは反抗としてしっかり受け止め,壁になりながらも,あえて同じステージ上での争いから降りるということです。大人の側の成長のチャンスでもあります。

本当に壁にならなければならないことは,安全上,社会規範上にふれる反抗です。

発達上の何らかの障害による

こだわりが強く、そのことをしなければ収まりがつかないという子どもがいます。

それが発達上の何らかの障害によると思われる場合は,強制的にやめさせるとパニックを起こすことがあります。

適切な対応が必要なので,専門機関に相談することが大事です。

つまり,まず「うちの子は発達障害の傾向があり、専門機関と相談した上で適切な対応をしなければならないのでは」、と受け入れることが大事になってきます。これを受け入れられないと,子どもが困り,そのうち親が困るということにつながっていきます。

他者からの強制によりやむなくする

よくないことをしている場合,それが友達などの他者からの強制によりやらされている場合があります。家のお金を持ち出すこともそうでしょうし,友達をいじめる片棒をかつがされるなどもあるでしょう。

ここで難しいのは,一方的に他者からの強制だけしているわけではない場合が多いこと,「あの子が悪いからうちの子がこうなった」と責任転嫁に結び付く可能性があることなどです。原因や対処が複雑で,ひとつひとつ述べていくと膨大になりますので,ここではこれ以上は述べません。

「そういうこともある」ということだけ知っていれば,ほかで述べたことを考慮しながら適切な対応が見えてくると思います。

まとめ

以上,子どもの都合ということについていくつか挙げてみました。

keichou

ここにあげたものは複合的なことも多く、こうしたらこうなるというようなことは簡単にはいきません。とてもレシピと呼べるものではありませんが、すくなくとも子どもの都合ということを一旦考えてみることで,このように切り分けてみると、適切な対応は何かということを考えてみることができると思います。

なによりも普段から安心して話ができる関係をつくっておくことが大事だと思います。

人はいつかは良い人になるのです。あせらず、じっくりかまえていきましょう。

kita

参考

今回の記事の執筆にあたり,次の本を参考しました。

親と子のアドラー心理学 勇気づけて共に育つ


こころの処方箋 (新潮文庫)

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