目からウロコの子育てレシピ4 「ほめて育てる」には,「アイ・メッセージ」で

こんにちは。隔週火曜日担当の@Lyustyle です。

6月に入り,「新学期,新年度」感も薄れてしまうこのころ,子どもたちも徐々に覚醒しはじめ,いろんないたずらをするようになります。そんなときにたまたま何かよいことをすると,ことさらにほめたくなるものです。ほめることで何とかよい方向に軌道修正をしたい親の気持ちですね。

さて,今回は,そんな「ほめる」とういことについてです。ほめるって,簡単なもんじゃないんですよ。

「かわいくば、五つ教えて三つほめ,二つ叱ってよき人とせよ」

二宮尊徳の言葉と言われています。

しっかり教えた上で,叱ることはすくなく,よくほめて育てようということを表した言葉です。

若いころから私が大事にしてきたことです。

でも,ほめていさえすれば子どもはすくすく育つのかというとそうではありません。

ほめまくればいいというわけではない

幼い時は、親のほめたいという気持ちと、子どものほめられたいという気持ちが一致していて,ほめることがその子を伸ばすことにつながることが多いと思います。

しかし、高学年になると、せっかくほめても「ふん」とされることも出てきます。ほめられたくもないことをほめられ、ほめてほしいことをほめてもらえない。ほめたいことと、ほめてもらいたいことにちがいがでてくるのです。子どもがほめて欲しいことは、たいてい大人がまゆをひそめることでもありますし。ほめることよりも口うるさいことを言ってしまったりすることもあります。

学校の中でも同様です。子どもをほめる際は十分心を配ります。

図画工作などで,子どもが描いた絵に「じょうず!」「うまい!」と口先だけほめても思春期に達した子どもたちはうれしいなどとは思いません。「色の組み合わせがいい」とか「はがれないようにぴったりくっついていて丈夫だね」などと具体的なことを見つけてほめてあげるよう,私たち教師は一生懸命子どものがんばりを見取ろうと努力します。よく見て理解していないとほめられないからです。

中にはほめられること自体がいやだと思っている子どももいます。「あなたからほめられるいわれはない」という感じ方をしたり,ほめたことをお世辞と受け取って反感を持ったりする子どももいるのです。

つまり,ほめて育てろ,といってほめてばかりいてもだめだということです。NGの場合すらあります。

そこで,ちょっとまとめてみましょう。

子どもはどんなときほめられたくないと思うのでしょうか。

2016-06-06 22.05.37

ほめられるのがいやな時とは

だいたい思春期に入る頃,10歳くらいからの子どもは,単にほめさえすればいいというわけではありません。そのくらいの年齢の子どもの気持ちから考えてみます。

  • 「ほめることで自分をコントロールしようとしているな」と感じるとき
  • ほめられるほどのことではないことをほめられ,「こんなこともできないと思われていたのか」と思うとき
  • ほめられるほど立派な努力をしていない。偶然うまくいっただけなのに,というようなとき
  • 自分のことを十分知らずに見当違いのことをほめていると感じたとき
  • 人間関係が構築されておらず。「あなたが何で私をほめることができるの?別にあなたにほめられたくない」,と思うとき

これまでの経験から以上のようなことが考えられます。

では,ほめられるのがいやならどうしたらいいのでしょうか

アイ・メッセージを伝える

ほめるということは相手を価値付ける行為です。「上手にできたね」「えらいね」価値づけによる評価ですよね。

ほめられるのが嫌な場合とは、人に自分を価値づけられるのが嫌なのです。特にあなたから(すみません。ちょっときつかったですか?)。

「自分のことをよく知りもしないで」

「何だい、上から目線で」

「別にあなたからほめられる筋合いはないよ」

そのような微妙な関係では,ほめることはうまく機能しません。それなら,どうするか。

価値づけなければいいのです。

つまり、子どもの行為を価値づけによって評価するのではなく,私がどう感じたかを述べるのです。「アイ・メッセージ」といわれています。

「上手だね」という言葉を「私、この色大好き」に

「えらいね」という言葉を「(私が)助かったよ。(私が)うれしいな。」に

これなら,相手を価値づけたわけではありません。あくまで私が感じたことを述べているだけです。子どもはすんなり受け入れられます。

そして,このことはするかしないかを自分で決める内発的動機付けになるのです。(逆に,ほめられるからやろう。ごほうびもらえるからやろう,というのを外発的動機付けといいます。)

満を持してほめる

ここまでほめないことを書いてきましたが、ほめることが良い場合も当然あります。

自分のことを価値付ける人だということを認めている相手から、正当な理由でほめられるとうれしいものです。

  • 努力の甲斐あって成果が得られたとき
  • 自分のことをよく知っており、正当に自分の努力を認めてくれたとき
  • レスペクトしている人から手放しでほめられたとき

こんなときには大人でもほめてもらうとうれしいですよね。

特に「やった!できた!がんばった!」「ほめて!」という気持ち全開の時,満を持してほめるのはとてもよいことです。

学校でもそうですが,人間関係ができてくると、高学年のすました女の子でも「ねえ、先生、見て見て」などと描いた絵や作ったものを持ってくることがあります。

そんなときには、もう愛おしさ全開で心からほめます。「わあ!素敵だねえ!よくできたねえ!上手だねえ!」

そのあと、アイ・メッセージで「見せてくれてとてもうれしいよ。ありがとう」といえば、もう嬉しさ満開でしょう。

啐啄の機(そったくのき)というのでしょう。ほめてもらいたいという気持ちとほめてあげたいという気持ちがぴたっとあった時には、ほめるということは絶大な威力を発揮するものです。

まとめ

  • 小さい子どもと思春期にさしかかろうとしている子どもでは,ほめてもらいたいことがちがう。
  • 思春期にさしかかると,ほめてもらいたいことが,大人のほめたいこととちがってくる。
  • ほめてほしくないことをほめないようにし,ほめてほしいことをほめるようにする。
  • ほめてほしいときには手放しでほめる。
  • ほめてほしいと思わないことでも,アイ・メッセージを伝えることで,すんなり受け入れ,次の行動への内発的動機になることがある。

以上です。ちょっと大きなお子さんをお持ちの方は,ぜひ今日からアイ・メッセージを始めてみませんか。

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