人前で話すときのヒント6 「ターゲットを定める」

「伝えることは、ただ一つ」 にしぼる。

これは「何を」を明確にする問いになります。

そして、「何を」に加えて重要なことが、それを「誰に」伝えたいのか。

「誰に伝えたいか?」によって、伝える内容は変わってきます。それは、”違い”があるから。

相手によって知識の違いがあり、理解度の違いがあり、視点の違いがある。

そんな違いを持つ方々に話すわけですから、その中からターゲットを定め、「この人に伝わるように!」話を考えることは、内容を定める上でまずはじめに考えるべきこと。

なにを、誰に、どうやって

ブログの書き方においても、「具体的な誰かに向けて書くつもりで」というアドバイスをよく見かけます。

この、「誰に向けて」は、人前で話す際にもとても重要なことになります。

「伝えたいこと」を元に、話の内容を考えていく際、「誰に」を明確にイメージしているほうが、内容を定めやすいことは想像に難くありません。

「ちょっと苦手意識があるようやから、噛み砕いて話すべきやな」

「この部分は、みんな理解してるから端折っても大丈夫やろう」

「はじめてこの内容に触れる人もいるので、専門用語は控えめにしないと」

「ここ、この相手にとっては少し説明足らずか。もうちょっと補足しておいたほうがいいかも」

「話が長くなりすぎるので、カットするとしたら、あの人たちにとっては既習の事実であるここやな」

などなど、あれこれ考えながら話の流れ・内容を考えていくわけですが、ターゲットが定まっていてこそ、より具体的に話すときの言葉を選んでいくことができます。

ターゲットをイメージしてこそ、話の展開を定めていくことができます。

伝えたい「ただ一つのこと」を定め、それを「誰にもっとも伝えたいか?」ターゲットを明らかにする。

そうやって具体的に考えやすいようにしておき、伝えたいことをどのように話していくのか考える。

なにを、誰に、どうやって伝えるのか。

話の骨子を組み立てる3点セットと言えそうです。

ターゲットを定め、そこから広くする

「人前で話す」ときには相手は複数人いることと思います。

ターゲットとなる人だけではなく、他に話を聞いてくれている人に対しても、「伝えたいこと」が腑に落ちるようにしていく必要があります。

ぼくは数学を教えているのですが、教えるクラス内には、数学を苦手に感じている子もいれば、得意な子もいます。

理想は、全体をガバッとカバーできるような授業をすることではあるのですが、とは言えそれでは内容を絞りきることができません。

苦手な子には詳しく噛み砕いて話したほうが理解してくれやすいのに対し、得意な子にとってはその解説がまどろっこしく感じてしまうかもしれません。

かと言って要所要所を伝えるだけでは、得意な子にとってはすんなり理解できる内容であっても、苦手な子にとっては頭に「?」が浮かんでしまうかもしれません。

説明の仕方一つ取っても、ターゲットに左右されてくるわけです。

なので、「今回は苦手な子が理解できるようにしよう」や、「次の授業では、一歩踏みこんでいくことで、得意な子が興味を抱いてくれるようにしたいな」などと、授業ごとにターゲットを変えつつ、組み立てていきます。

でも、たとえ苦手な子に伝えることがメインの授業であっても、得意な子をないがしろにしていいわけではありません。

「誰か」にターゲットを定めたとしても、その誰か”だけ”にむけて話の内容を考えておけばいいわけではないわけです。

そこで、「深く」掘り下げる問題や、視野を「拡げる」ような質問を、授業の展開の中に加えておいたりします。

そうすることにより、ターゲットの幅を広くする。

中心を定めておき、そこからできるだけ大きな円を描くように、いろんな人をカバーできるようにしていくイメージです。

おわりに

「誰に届けたいのか?」

この問いは、なにかを提供するものにとっては、もっとも重要なものである、と思います。

そして、人前で話すのは、なにかを届けることであるはず。

自分が持っている知識を、調べた事柄を、そこから抽出された自分の考えを、および自分のだした結論を。

一対一で話すときは具体的に相手のことをイメージしてのぞめますし、やり取りの中でイメージの修正をしていくことも可能です。

しかし、集団相手はそうはいかない。

油断すると、話がブレブレになってしまいます。

それを防ぐためにも、より伝わる言い方を考えるためにも、「ターゲット」を定め、相手を明確に意識しながら内容を考えていってほしいと思います。

より伝わるようにと意識して。

では、お読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

シェアする

フォローする